NEC Hi-Band Beta hi-fi Video Cassette Recorder
VC-N63
修理レポート







2003年6月18日

家電から撤退してから久しいNECだけに、かつてベータ陣営の一翼を担っていたことを知る人も少ないでしょう。
確かに盟主ソニーほど特徴ある商品を発売したわけでもなく、東芝ほど宣伝しなかったのは事実です。
しかしベータ陣営二番手の東芝ですら発売しなかったHi-Band Beta hi-fi機を出したり、ヘッドドラム至近にプリアンプ回路を置いて映像信号の劣化を抑えるDC方式を打ち出すなど、堅実な商品展開を行っていました。
今回取り上げるVC-N63は、そのNECが発売したベータ方式最後のビデオデッキで、都下ハードオフにて、テープイジェクト不良のジャンク品として1000円売られていたもの。
外観がそれほど悪くないので、記念モデルとして"捕獲"した。
かくして、動くけど使わない電気製品が増えていく・・・・・。

今回の修理は、はっきり言って修理と呼ぶには簡単すぎる。

何故ならNECに多いカセコンイジェクト機構のゴムベルト劣化(スリップ)によるイジェクト不良で、ゴムベルトのスリップを直せば全く問題ないのだから。
よって修理費は実質ゼロ、仮にゴムベルトを同等品に交換しても100円程度ではないだろうか?

このN63に関する情報がWebにはほとんどないので(N63に限らずNECのベータデッキ全体に言えることだが)、分解がてらインプレッションレポートを載せることにしました。




●主な仕様
型番:VC-N63
定価:158000円
発売年月:1986年4月
サイズ:430Wx105Hx361D mm
重量:10.3kg
消費電力:43W




フロントパネル
 シーリングポケットはなく、全てのスイッチがパネルに出ている。
それでいて煩雑に見えないのは、本当に必要な機能のみ採用しているからと思われる。
例えばソニーのデッキなら、hi-fi音声やHi-BandのON/OFFスイッチがあるが、N63ではそれらがない。
つまりほとんどのユーザーはhi-fi音声とHi-BandはONにしたままであろうという割り切りであろう。
うっかりOFFにしたまま大事な録画を始めてしまう可能性を原理的になくすことができるので、1つの定見であると思う。


テープを入れるとライトが点灯する。
詳細は以下参照。



ご覧の通り、操作系はシンプルそのもの。
特殊再生機能はスチルとコマ送りのみのシンプルなもの。
サーチやスチルにはバーノイズが派手に出る。
この辺はローコストな設計となっている。


ベータ方式ではほぼ標準機能と思われたリニアタイムカウンターは非採用。
カセットデッキのように、4桁の数字で表示するだけ。
蛍光管表示も必要最低限。
ここまで徹底していると清々しい(?)。



テープ残量ミラー
 リニアタイムカウンターの代わりといっては何だが、テープの残量が目視できるよう、ミラー(反射板)と電球が付いている。
実際は結構見にくい。構造は単純かつ原始的。NECのVC-Nシリーズで標準採用。


テープを入れてローディングするとライトが点灯する。


テープが入ると、ミラーがパタンと降りてくる。



暗闇で見ると残量が割とはっきり見えるが、普通の屋内照明下ではそれほどはっきり見えない。


チューナー
電子式が普通だった時代に敢えてこういうチューナーを搭載するのが謎。
しかもインターキャリア方式とスプリット・キャリア方式を選べるオマケ(?)付き。




基板構成

左半分は3段重ねとなっており、上からチューナー基板、ビデオ基板、オーディオ基板となっている。



右半分はローディングメカの下に1枚、コントロール・サーボ基板がある。



相変わらずワイヤリングが多く、後付け部品も多い。



メカ&メカ基板
 メカはインピーダンスローラーのない、旧来からのメカを使用。

ローディング状態です。


こちらはアンローディング状態。



SVHS機VC-DS1で故障の原因になったキャプスタンサーボ基板には、チップケミコンではなく小型の通常ケミコンが使われている。
おかげでこちらは問題がない。


基板上に飛び交う派手なワイヤリング対策なのか、プラスチックカバーが取り付けてある。


リアパネル
 オーディオ端子は金メッキされ、ビデオ端子にはわざわざPCMと併記してある。




機種銘板
 
今や見ることもなくなった日本電気ホームエレクトロニクスの社名が懐かしい。
シリアルから察するに、N63の初回ロット製品らしい。


測定結果
 カラーバーを録画・再生した結果。
波形は民生機らしく派手に暴れが見られる。
いつ見ても、これでテレビ画面に画が映るのが不思議だったりする。
ベクトルの色相はまずますだが、振幅は浅めに出ている。
これがNECの絵作りなのかどうかは比較ができないので不明。