NEC Video Cassette Recorder VC-DS1 修理レポート







2003年06月14日

知人から、NECのSVHSビデオデッキVC-DS1を譲り受けた。
何でも数年前にハードオフで500円ほどで購入、その後修理するヒマもなく現在に至り、邪魔なんだそうな。
見た目は中古とは思えないほど程度がよく、NECご自慢のデジタルノイズリダクション搭載なので、喜んで引き取ることにした。
その知人曰く、「何が問題だったか思い出せないけど、とにかく修理が必要」とのことなので、帰宅して早速動作確認。
メカ系は問題なし。テープのローディング・アンローディングはスムーズだし、NECに多いカセットテープのイジェクトも問題なし。


NECのビデオデッキ伝統(?)のゴムベルト駆動イジェクト機構。
無理な力が加わっても、この部分で吸収できるメリットがある反面、ゴム劣化やスリップでテープの出し入れにトラブルが発生しやすい。
古いNECのビデオデッキで、テープイジェクトに問題があれば、まずこの部分を疑うべし。


蛍光管表示も問題ないし、HiFi音声もちゃんと出ている。
「もしかして一過性の故障だった?」とささやかな期待をしつつ、モニターにDS1を接続して再生テスト。
結果は、"音は出るけど絵が出ない"という、ビデオデッキにあるまじき問題。


 絵の出るレコードならぬ、音の出るビデオですか、これ?(爆)


シャトルリングを回すと乱れた画像がかすかに表示されることから、致命的な故障ではなさそう。
NECご自慢のノイズリダクションをOFFにしても画像に変化はないことから、デジタル回路の問題ではない。
よくあるビデオ系回路のケミコンの容量抜けか?
取りあえずDS1を分解してみる。NECのビデオは初めてなので、ちょっと不安だったが、思ったよりは分解しやすかった。
尤も、追加基板やワイヤリングが異様に多く、大量生産に慣れた大手電機メーカー製とは明らかに違う。


デジタルビデオノイズリダクション基板(写真右下部分)はシールド板でカバーされている。
かなり込み入った作りで、外付け基板や部品が多い。



デジタルビデオノイズリダクション基板をひっくり返したところ。
ここもワイヤリングがすごい。
調整箇所の多さといい、ワイヤリング本数の多さといい、お世辞にも生産性がよいとは言えない。


基板を取り出すには、まずインシュレーターを外す。
インシュレーターを外すと、そこにフロントパネルを固定しているネジが2本出てくる。
フロントパネルを固定しているネジを全て取り外す。
フロントパネルはシャトルリング部分の2つのケーブルと、操作パネルと本体を結ぶフレキ1本(1枚?)を抜き取れば完全に取り外すことができる。
基板はツメで固定してあるだけなので、工具は必要ない。
基板は4階建てで、一番上がデジタル基板、一番下が映像基板らしい。
一通りながめてみたものの、中古ビデオでよく問題になる表面実装電解コンデンサは1つも見当たらない。
たかがビデオデッキに、何故これだけの部品が必要なのかと思うほど詰まっているものの、チップ基板がない。
おかげで修理しやすくてありがたいが、メーカーの立場からするとお世辞にもほめられたものではなかろう。
コスト計算してるんだろうか?
コンデンサの容量抜け(電解液漏れ)が原因でないとすると、回路を追いかける必要が出てくる。
そう思うと先行きが思いやられる。

しかし幸運の神様は見捨てなかった。
テープを早送りするとオイル切れのような"キーキー音"がするので、メカを見てやろうと底板をはずしたら、そこにあったのは3個の表面実装電解コンデンサ。しかも液漏れ中。(^-^;


底面カバーを取り外したところ。
最近のビデオデッキと比べ物にならない密度である。



チップケミコン発見!
僅か1カ所3個のケミコンなのに、これが原因で再生できなくなって捨てられる。
よく見るとしっかり液漏れしていて、パターンに電解液が浸透している。


この時代、NECは原則としてチップ部品を使っていなかったのだが、この底面にある基板に通常の電解コンデンサを使うと、空間の制約から底板と接触するため、例外的に表面実装コンデンサを使ったらしい。
ではこの基板は何の回路かと調べたら、キャプスタンモーターの回転制御用らしい。
これで映像が出ないわけが判明した。
キャプスタンが正常に制御できないんだから、映像が出るわけない。
このコンデンサは14V100μFなので、通常の16V100μFに交換すればOKではないか。
ということで早速交換してみる。コンデンサは普通のものを横に寝かせて取り付け。


16V100μFの通常ケミコンに交換。



さて、結果は・・・・・・。







  ☆
       (^o^)v







ケコミン1個50円×3個=150円 で修理完了。
前回の三菱S75に続いて、2台目のSVHSビデオを入手。
しかも今回は作業時間30分・経費150円で、NECが結構真面目に作ったビデオデッキを手に入れることができてめでたしめでたし。
しかしテレビを全く見ないのに、ビデオデッキを何台も所有してどうするんでしょうねぇ・・・・・。






簡単ながら分解ついでにインプレッションを。


フロントスイッチ群
 電源ボタンの下にあるボタンを押すと、ゆっくりと操作パネルが開く。基本的な操作は全てここで可能。スイッチの操作感も良好。
テープ挿入はかなり力を入れて押し込まないと吸い込んでくれない。



蛍光管表示
 黄色のドットマトリックス方式。
文字は大きいがドットが細かいので、離れたところからの視認はそれほどよくない。
入手時は表示部とパネル裏面が静電気でかなり汚れており、表示が暗かったが、中性洗剤できれいに拭いたら見違えるように明るくなった。
縦型の2色音声レベルメーターが格好いい。



インシュレーター
 (プラスチック製の)格好だけのインシュレーターではなく、中心部がハニカム構造の金属製インシュレーター。
重量はかなりある。
尤もビデオデッキに高級なインシュレーターを取り付けたところで、どの程度効果があるのか疑問。


シャトルリング
 赤いLEDが回転角度に連動して点灯してなかなか格好いい。
ただ、ロータリーエンコーダー式のため、リングはいくらでもクルクル回る。
右に100回回したからといって10000倍速サーチをやってくれるわけではない。反応はまずます。


デジタルノイズリダクション
 リモコンあるいはフロントパネルでノイズリダクションの効果を可変できる。
DNRをONにすると、画面の暗い部分に目立つチラチラが減って見やすくなるが、エッジが甘くなってソフトな画像になる。
3倍モードで収録した古いテープの再生には効果的かもしれない。


インピーダンスローラー
 フライングイレースヘッド基板の下にあって見えにくいが、大きめ(重め)のインピーダンスローラーが付いている。
ただし送り出し側のみ。(HV-S75は送り出し側と巻き取り側の2カ所)


基板・ワイヤリング
 とにかく配線とコネクタ、追加基板が多い。
そのためメンテナンスも面倒。
フライングイレースヘッド基板がその最たるもの(写真)。
いかにも後から泥縄式に追加した感じがありあり。



リモコン
 シャトルリング&大型液晶画面付きの弁当箱サイズのリモコンが付属。
液晶画面は大きいが、左3列×F1〜F5の15の機能をON/OFFするためだけで、別に液晶でなくてもスイッチを並べれば間に合うような内容。
縦長ならまだしも、このサイズで横長なので、手に持って操作するのは難しい。基本的にテーブルの上に置いて使うものらしい。



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