ONKYO USB Digital Audio Processor SE-U55SX Report



仕様

発売年: 2008年
SN比: 115dB
周波数特性: 0.3Hz〜44kHz(LINE OUT,+0/-0.5dB)
全高調波歪率: 0.002% (20kHz AES17 LPF、A-Weighted)
デジタルIN/OUTサンプリング周波数: 44.1、48、96kHz
ライン出力レベル: 2.0Vrms
ライン入力レベル: 200mVrms
マイク入力感度: 5.0mVrms
音声入力端子: デジタル3(光2、同軸1)、アナログ1
          MIC入力(φ3.5mm/モノラル)1
音声出力端子: デジタル2(光2)※、アナログ1
          ヘッドホン(φ3.5mm/ステレオ)1
接続方式: USB1.1
電源:100V〜240V ( 50Hz /60Hz ) ACアダプタ使用時
消費電力: 3.8W
外形寸法(幅×高さ×奥行): 169×244×67mm
質量: 0.7kg

2008年6月16日

元々不調だったオーディオ専用CDレコーダーがついに壊れてしまいました。
今更修理に出すのも馬鹿らしいので、USBサウンドカードを買ってPCでオーディオ編集・CD製作環境を作ることに方針転換です。
いくつか候補があったものの、評判の高いSE-200PCI相当の性能と多彩な入出力端子を持つオンキヨーのSE-U55SXを選択。
新品で送料・税込み17,470円。この価格でSN比 115dBという驚異的なスペックを持つ機器が手に入るのだから驚くしかない。

一通り使ってみた感想としては、スペック通り非常にノイズが少なくてクリアな音質、そして付属アプリケーションはオマケ(機能限定版)ではなくてフルスペックのソフトが同梱されているので、本格的なPCオーディオにも使えるでしょう。はっきり言ってお買い得です。
しかし、電源であるACアダプタが非常にローコストで、むしろこのACアダプタでSN比 115dB・全高調波歪率0.002%という性能が出ること自体、(1980年代にオーディオを学んだ世代としては)にわかに信じがたいところ。そこで早々に分解して回路を分析してみました。



そして判明したことは・・・・・・。




    「コンデンサを付け忘れてないか?」




以下、その記録です。



ポート一覧です。




ACアダプタはスイッチング電源のフリーボルテージタイプです。海外でもそのまま使うことが可能です。




ACアダプタにフィルタが付いていないので、手持ちのフェライトコアを付けてみました。
気休めかもしれませんが、大元の電源からノイズが出てしまってはオーディオ機器として失格でしょう。




ちなみにコンセントプラグは簡単に交換可能です。
プラグ部分だけ取り替えれば、輸出先ごとにACアダプタ本体を交換しなくて済むので合理的です。
しかし、PCデバイスとしては普通でも、オーディオデバイスとは思えない安っぽいACアダプタです。
出力電源波形をオシロスコープで観測したところ、若干スパイクノイズが漏れているものの、思ったよりひどくはありませんでした。




回路全景です。筐体サイズの1枚基板で構成されています。
サウンドカード・SE-200PCI の回路をそのままに、パーツをゆったり配置した感じです。

電源の流れとしては、ACアダプタから供給された5Vは、簡単なフィルタを経由して中央部の電源用コンデンサで平滑化され、DACとADCのアナログ電源として使われます。
また、三端子レギュレータで3.3Vのデジタル回路電源を、DC-DCコンバータを介して±9Vのアナログ回路電源を生成しています。
宣伝には「超大型コンデンサを贅沢に三個搭載」と記載してますが、筐体の高さ(厚み)に制約があるので、所詮はこのサイズです。




オンキヨーご自慢のVLSC回路アップです。
この辺は高音質PCサウンドカードとして名を馳せたSE-200PCI と同じ回路構成です。
回路はしっかり左右対称に設計されています。





そして売り文句の1つである銅バスプレート。
この部分だけ安定したグランド電位を実現すればいいの?という気もしますが、CDプレーヤのシャーシ全部を無駄に銅メッキしてた某社よりはマシでしょうか。





唯一使われているOSコン。
下の写真はオーディオ用コンデンサ・シルミックII 。
宣伝文句には「オーディオ専用の電解コンデンサーやOS-CONさらには、ジッターの低減に欠かせない、高精度の水晶発振子の搭載など、妥協のない贅沢な設計となっています。」とありますが、OSコンは1個、オーディオ専用の電解コンデンサはたった2個しか使われていません。
宣伝文句に偽りはないものの、いくら何でもこの程度で"贅沢な設計"と言って欲しくないものです。




カップリングコンデンサにはシルミックII が使われています。
個人的にはシルミックの優しい音が好きなので、この部分を敢えて交換するつもりはありませんが、お好みに合わせて交換しても面白いかと思います。




DACはバーブラウン製のPCM1796です。
SE-200PCIではウォルフソン製WM8740を採用していたので、コストの問題か仕様改善が目的でしょう。




SE-U55SX 最大の謎(というか欠点)がこれ。
DC-DCコンバータの一次側と二次側の両方にコンデンサが付いてません。
パターンは存在するので、設計段階ではコンデンサを付けるつもりだったものが、生産段階で省かれたのでしょう。
取り敢えず電圧変換はできているようですが、波形を観測したところ驚きの結果が・・・・。




+9V の波形です。
+9Vに約6Vp-pのリップルが乗っており、本来の直流+9Vには程遠い出力です。




同じくこちらは-9Vの出力波形です。
約8Vp-pのリップルが乗っているだけでなく、波形も歪んでいます。
この状態で使い続けて、部品寿命は大丈夫なんでしょうか・・・・。




ということで、C977とC978に16V ・100μF、C973とC974に16V・10μF の電解コンデンサを追加してみました。
※無駄に大容量コンデンサを取り付けるとチャージが追い付かず、逆に負荷がかかってノイズの原因になります。





+9Vは綺麗な一直線になりました。






ピンぼけ、そして輝線が見にくいですが、-9Vです。
こちらも見事に安定しています。



改造結果ですが、元々ノイズレベルが低いので、聴感上の改善は認められません。
むしろ、筐体から聞こえる回路ノイズが低減したので、デスクトップオーディオ用として(特に夜中の静まった時間帯に)安心して使えることのメリットの方が高いかもしれません。
今のところ音質に不満はないので、しばらくこのままの状態で使ってみるつもりです。


追記
 各所で本記事が取り上げられ、公開から数年経った今でもアクセス数の多いページです。
 DC-DCコンバーターにコンデンサが付いていないことは事実ですが、それを指弾したり不良品呼ばわりする意図はありません。
 数百円投資するだけで、長期間安定して使い続けることのできる"保険"として有効であることから公開に踏み切ったものです。
 コンデンサがなくても動作はしますし、コストパフォーマンスに優れたプロセッサーであることには変わりありません。
 くれぐれもメーカーや販売店に迷惑をかけないようお願いします。