Pioneer Speaker S-77 Twin SD Maintenance Report



仕様

発売年:1989年
サイズ:W268 x D376 x H960 (mm)
重量:29kg
価格:12万円(2本セット)
構成:2ウェイ3スピーカー、位相反転式フロア型
SPユニット
 低域:18cmコーン型×2
 高域:2.5cmドーム型
インピーダンス:6Ω
再生周波数帯域:35Hz〜40000Hz
出力音圧レベル:91dB/W/m
クロスオーバー周波数:2500Hz

2007年2月18日

1990年4月に購入して以来、海外赴任の際にも連れて行ったパイオニア製スピーカー・S-77Twin SD。
今ではサラウンド用スピーカーとして多く見られるトールボーイスタイルのスピーカーですが、当時はオーディオ全盛期ということもあって、立派なハイファイ用スピーカーとして発売されたものです。
1980年代後半、59800円のスピーカーはメーカー各社の熾烈な競争が続いていて、俗に598戦争と呼ばれたほどでしたが、パイオニアはその競争を避けて、独自のバーチカルツイン(ツイーターの上下にウーファーを配したインライン同軸配置ダブルウーファー)方式で参入、一定のポジションを得ることに成功しました。

パイオニアのスピーカーについては下記サイトが非常に参考になります。
 http://www11.plala.or.jp/teikakakucosme/PIONEER-EXCLUSIVE/speaker/index.html
トップページはこちら
 オーディオの足跡:http://www11.plala.or.jp/se_ke5583/

購入から17年経つS-77Twin SDは、特別高性能というわけでもなく、ワイドレンジなスピーカーなら他にも存在するのですが、物量投入されて作られた余裕ある音と使い勝手の良さで手放すに至らず今日に至ります。
しかしさすがに劣化を無視するわけにもいかなくなり、音のシャープさを取り戻すためにリフレッシュ改造することにしました。




フロントバッフルは50ミリ厚の本格派だが、天板・側板・裏板は20ミリ厚。
再生時に触ると側板や天板が振動している。
裏板は木ネジ12本で固定しているが、叩けば結構響くので何とか制震したいところだが、別の素材を取り付けると音も変化するので、手が出せないまま今日に至る。どうしようかなぁ・・・・。




本体の底板は20ミリ厚だが 40ミリ幅パーチクル材の足(スカート?)が付いており、中にニードルフエルトを詰め込んで吸音してある。白くて丸い穴が4つあるのはスパイク取り付け穴。フローリングに直置きしているので、スパイクを使わずにフェルトを挟んで使っている。




裏板を外したところ。ウーハー用ネットワーク回路が直接取り付けてある。煙突のようなものはバスレフポート。
何だか棺桶みたいですね、これ。ヾ(^^;ォィォィ




紙製のバフレフポートが2つある。
バフレフポートには一応制震用(?)にガムテープを巻き付けるように貼ってあるが、叩くと乾いた音で結構鳴る。




内部はニードルフェルトが多量に使用されている。
ウーハーを固定するボルトにも吸音材が貼られている。(赤線矢印)
こういう細かな芸は、普及機でも当時は当たり前のように行われていた。





ウーハー用ネットワーク回路。ニチコンのバイポーラ電解コンデンサ8.2μFとコイルで構成されている。
基板を使わず、裏板に直接固定する格好で取り付けている。
2つのウーハーには同一のネットワーク回路をそれぞれ独立して設置している。
ベースにわざわざガムテープを貼っている。これにどの程度効果があるのかは不明。




ツイーター用ネットワーク回路は筐体内部側板に取り付けられている。
こちらも基板を使わず紙のベースに接着剤で固定されている。
ニチコンの電解コンデンサ3.3μFとバイポーラ電解コンデンサ6.8μFとコイルで構成。
この当時、他社でも電解コンデンサをネットワーク回路に使っていたが、長期的に見ると容量抜けや劣化の心配があるのであまり感心しない。
今回の改造はこの部分をメインに取り上げる。





スピーカーターミナルは一見すると安物のプラスチック製だが、柔らかい樹脂で作られていて叩いても思ったほど響かない。
裏にはガムテープが貼られていた。
それにしてもガムテープでダンプするのが好きだなぁ。




今回の改造で交換するコンデンサ群。
Solen FAST(フランス製)とBENNIC(台湾製)で、共に安価な割に評判のよいスピーカー用フィルムコンデンサ。
メーカーが2種類になったのは、単に8.2μFのSolen FAST が手に入らなかったためで特に意味はない。
写真はスピーカー1本分なので、実際はこの倍が必要。
総額で5千円ほど。これで音質が改善すれば安いもの。




電解コンデンサを固定している接着剤は、ちょっと力を加えるだけでまるで飴細工を壊すかのようにパリパリと砕ける。
接着剤もさすがに17年も経つと劣化してしまうらしい。




電解コンデンサをフィルムコンデンサに交換し、ホットメルトで固定。ついでにコイル周辺も固定。オリジナルは圧着接続だったが、音質劣化より接触劣化を嫌って配線は全て半田付け。
余った半端のフェルトをウーハー用ベースに貼っておく。
ガムテープより効果はあるかも・・・・!?




こちらはコンデンサ交換後のツイーター用回路。
基板のように取り外しができないので、頭を突っ込んで作業しなければならないのが不便。




バフレフポートにフェルトを巻き付けて制震。
少なくとも以前のようにコツコツと鳴ることはなくなった。
効果の程は不明だが、コストはポート1つ当たり30円ほどなので処置しておく。




さて、交換直後の試聴。


をををっっ!!音が明らかにクリアになった!!ヽ(^▽^)ノ

軽く霞がかかっていたのが、すっきり晴れて遠くが見渡せるようになった感じだ。



その反面、とても無機的で音が固い!!! (+_+;耳も痛い・・・・


以前の状態を飲みかけのちょっと古いお酒に例えるなら、今の音はまるで工業用アルコールでも飲んだようなイメージか?
シャープさが増した分、ジャズのドラムやシンバルはエッジが立って面白いが、弦楽器はヒステリックになってとても長時間聴くに耐えない。
やはりエージングが必要だ。



ということで、テストCDに収録されているホワイトノイズのトラックをリピート再生状態にして加速エージング開始。
さすがに夜中にあの「ザー」という音を流しっぱなしにするのはうるさいので、客用の布団をスピーカーに巻き付け、上に座布団のフタをして吸音。事情を知らない人が見たら何事かと思うに違いない。(さすがにカミサンはもう見て見ぬふり)



● エージング15時間経過後の状態

若干高域のキツさが取れ、低域も軽やかに出るようになったけど、本調子にはまだまだですね。
変化の傾向としては悪くないけれど、重低音はやはりスーパーウーハーの補助が必要になりそうだ。
高域はもうちょっとがんばって欲しいところ。果たしてどうなるか・・・・!?


● エージング100時間経過後の状態

さすがに100時間を超えると音にも艶が出てきて、刺々しさが消えてきます。
コンデンサ交換前に比べてソプラノが澄んで聞こえるようになったのが一番の改善でしょうか。
また、金管楽器の反射音がはっきり聴取できるようになりました。
低音は相変わらず豊かで軽い傾向のままです。
延命措置としては一応成功だと思います。
ちょっと性格が変わってしまいましたが、でもコンデンサの交換はやらないよりやった方がよいと思われます。