Panasonic SVHS VCR NV-FS65 Repair Report







2004年02月01日

松下製アナログオーディオメーター付きSVHSビデオデッキ「NV-FS65(以下FS65)」を入手しました。
外観程度は比較的良好ながら、電源が入らないもので、お値段300円。
おそらく使い続けているうちに電源回路が壊れ、そのまま処分されたものだと推察、試しに入手して修理してみることにしました。

帰宅後、取りあえず電源を入れてみる。
すると一瞬だけメーターは振れるので、電源回路が完全に壊れているわけではなさそう。
半田クラックか、電解コン容量抜けか、半導体の劣化か、その辺りではなかろうか?
尤も、電源部の修理はあまり経験がないし、下手に修理すると非常に危険なので、慎重に作業する必要がある。
取りあえず外筐を外してみる。側面のネジを4個と、本体のネジ4個を抜けば、簡単に内部へアクセスできる。



うーーん


すごいホコリ。(+_+;


こういうマニアックな機種は、独身者が喜んで買いそうだけど、このホコリと畳のクズの多さから察するに、築15年ほどの2DKアパートで食寝兼用の部屋に置かれていた感が有り有り。(笑)
リモコンに至ってはホコリだらけで、ゴムパッドを水洗いしたぐらいでは汚れが落ちない。
恐るべし、独身野郎。(<勝手に決め付け)
幼児がいる家にあったビデオデッキには、ホコリの代わりにおもちゃやおかしが入っているので、ビデオデッキから持ち主の生活風景が読み取れたりして怖い怖い。(^^;

取りあえずリモコンは分解し、水洗いできる部分は全て中性洗剤で洗います。
FS65用のリモコンは、全周がツメで固定されているだけなので、少しずつツメを外していけば分解可能です。
ボタン(ゴムパッド)は特に汚れがひどいので、歯ブラシを使って優しく細かくこすり落とします。
リモコンは本体修理完了まで出番がないので、組み立てずにそのまま放置して、しっかり乾燥させておきましょう。

では、本体側修理に着手です。


固定ヘッドなんかご覧の通り。(汗)
これでよく動くもんですなぁ。
ヘッドやメカシャーシは、綿棒で根気よくホコリをかき集めて掃除。



トップビューです。
右隅にある金属ケースに収められた部分がメイン電源、それと平行にコンデンサがいっぱいぶら下がっている基板がオーディオ用電源基板です。
この基板と背面のトランスで、別途オーディオ用に電源を構成している。(Viva!バブル!)



電源ユニットは、電源ユニット上部と背面に見えるネジを全て外すと、そのまま上に抜き取ることができる。
トランスのカバーも、2つのネジを外せば簡単に取り外しできる。
電源ユニットと背面のトランスとを結ぶ配線があるので、トランスのカバーを外し、太い2本の線をトランスから抜けば、電源ユニットは完全に抜き出すことが可能です。
この辺は実によく設計されており、さすが量産技術に長けた松下製かと思う。



シールドはネジも半田も使わず、蓋のようにかぶせてあるだけなので、マイナスドライバーを差し込みながら全周を少しずつ外していけば簡単に取り外せる。
ただし、基板に直接アクセスするには、放熱板に固定されているICを基板から抜く必要がある。
この辺の話になるとかなり厄介で、相応の技術がないと電源事故につながりかねないので、詳しい解説は省きます。
一応電源ユニットの分解写真を載せておきますので、これを見てすぐ構造が分かる人じゃなければ修理を諦めた方がいいと思います。(ちなみに赤丸の基板は、後述するFS500の電源部品です。FS65との相違は、トランスへの配線がないことです)



電源ユニット内部は、かなり汚れている。
こんなに汚れて、絶縁性は大丈夫なんだろうか?



トップカバーも電源付近は真っ黒になっていた。
密度が高く隙間がほとんどないので、熱も相当こもるに違いない。


心配はともかく、電源基板を調べてみる。
ざっと見た感じ、ショートした形跡もなければ、半田クラックも見当たらない。
電解コンデンサも派手に噴いた物はなく(寿命寸前の物は多々あり)、ここで行き詰まってしまった。
取りあえず電解コンデンサの総交換をやってみようと、1個1個耐圧と容量をチェック。
ところが、オーソドックスな電源なら簡単なのに、松下の自社製スイッチング電源だけに、25V57μという通常ではお目にかからないようなコンデンサが使われていて、しかも耐熱105度なんてものはそうそうあるものじゃない。
しかもコンデンサを総交換したからといって、電源が直る保証もない。
さりとて、たった300円で手に入れたビデオデッキに、正規ルートで電源ユニットを発注するのも馬鹿馬鹿しい。
そこで当面の打開策として、同等機種から電源ユニットを移植し、FS65を動く状態にして動作チェックしてから電源ユニットのことは考えることにした。

同等機種を求めて、近所のハードオフへ。
つい最近、FS70というFS65の兄弟機種を棚に見かけたけど、誰かが買っていったのか今はもう見当たらない。
そこで代わりにFS500という、電源部分がそっくりなノーマルVHSデッキを買ってきた。
「電源入りました」で500円。純正保守部品に比べれば格安!?
早速FS500を分解。松下製のデッキは実によく考えて設計されていると思う。
機種が全く異なっても、内部構造が共通化されていているので、修理も保守部品の管理も容易であろう。



FS65のためにドナーとなったFS500。
ノーマルVHSデッキにもかかわらず、SVHSのFS65と非常に構造が似ており、部品探しが容易。



さて、肝心の電源ユニットだけど、FS65の時代よりコストダウンが進み、外付けトランスへの配線(下記トランス写真の矢印部分)が省かれていて、その点だけがFS65の電源と違った。
この配線がないと、FS65のウリであるオーディオ回路が生かせないので、この部分だけ加工が必要になる。
物は試しと2つの電源ユニットを分解して、いわゆる2個イチにして動く電源を作る。
上に掲載した写真の通り、かなり分解しないとダメなので、結構面倒くさい。
電源ユニットを本体に戻し、抜いたコネクタ類を元通りに接続、電源ON!カチッ! (<リレーが動作する音)


をををを! 動いた!!


晴れて蛍光管表示もアナログメーターのオレンジ色のイルミネーションも点灯、取りあえず電源は復旧成功。
電源ユニット内のケミコン寿命が気になるけど、その時は諦めて正規保守部品をオーダーするとして、取りあえず交換が容易なオーディオ用電源基板のコンデンサだけ総交換することにした。



こちらがオリジナル基板。
コネクタを全て抜き取れば、基板は本体から垂直に抜き取ることが可能。
他のサイトを見ると、ほぼ確実にケミコンが噴いているんですが、ウチのFS65はギリギリセーフといった状態。
尤も、高温状態で10年以上経過したものであり、劣化していること確実なので、全て交換。



ケミコン交換後の状態。
耐圧・耐温度特性を優先したため、敢えてオーディオ用は使っていません。
下手にオーディオ用コンデンサを使うと、不必要にサイズが大きくなって取り回しが不便というのもあります。
なお、大きなケミコンはホットメルトで固定しておきます。



電解コンデンサの交換が終わったら、次はフロントパネル周りのクリーニングを。
フロントパネルは、シーリングパネル(操作パネル)を開いた状態で脱着します。
ネジ止めは底面側に1つあるだけで、あとはツメで固定してあるだけ。
ツメとネジを外し、まっすぐ抜けば容易に取り外しできます。
フロントパネルは中性洗剤と歯ブラシを使って隅々まで洗い、蛍光管表示部分のオレンジ色フィルムは静電気で大抵派手に汚れているので、ガーゼ等を使ってきれいに洗浄しておきましょう。
フィルムをクリーニングすると、蛍光管表示が見違えるように明るくなります。

さて、これで不動品だったFS65が動作するようになりました。
オーディオ用途でしか使うアテがないので、このままでも全く問題ないのですが、FS65(に限らずこの時期の松下製ビデオデッキ)は表面実装コンデンサが噴いて、SVHSが正常に録再できないという問題を抱えています。
ケミコンが毎日少しずつ劣化して、電解液が漏れているというのも気分的によろしくないので、予防措置として交換しておくことにします。
以下、ケミコン交換手順です。



メイン基板は、
 1,基板を固定している全てのビス
 2,リアパネルの入出力端子付近にある全てのビス
を抜けば、基板がガバッと起きあがります。
赤丸部分でケーブルを束ねて固定してありますので、基板を起こす際は無理に引っ張らないように・・・・。



ケーブル固定部分拡大写真です。
これに気付かずに基板を起こそうとすると、基板がなかなか立たずに苦労します。



メイン基板半田面に Y/C PACK とあるのが、問題の基板その1。
全部で35ピンあるので、根気よく半田を取り除くこと。



メイン基板から取り外した Y/C PACK 基板。



Y/C PACK 基板にあるサブ基板に、表面実装ケミコンが4個乗ったものがあります。
これがほぼ確実に噴くので要交換。



問題の基板。容量は写真参照。



幸い今回のFS65は噴いていませんでした。
しかし液漏れ寸前だったので、交換して正解でした。
小型のノーマルケミコンに交換。1個30円ほどなので、4個で120円ぐらいか。
なお、表面実装型ケミコンを取り外す際、結構苦労している人がいますが(パターン剥がし・半田面剥離など)、取り外す際はニッパーや精密ラジオペンチでケミコンを挟み、押し付けながら何度か軽く左右にねじると、リード部分が金属疲労で徐々に折れて、簡単に取り外すことができます。
また、電解液は基板腐食やショートの原因になるので、基板をクリーニングしておきます。



Y/C PACK 基板には、コーティングされた謎のサブ基板があり、ここにも表面実装型ケミコンが2個使われているのですが、こちらは他のサイトを見る限り交換している人がいないですね。
寿命という点では、これも問題を抱えていると思うのですが・・・。



問題の基板その2。
Y/C PACK 基板と平行に並んでいる SHQ PACK基板にも、このようにケミコンが2個使われています。
このSHQ PACK 基板はメイン基板にコネクタ接続されているだけなので、半田除去は不要です。
SHQ PACK基板をメイン基板に固定している白いプラスチックのツメ2つを抜き、基板を垂直に抜くと基板がコネクタから抜けます。
手前のオレンジ色のコネクターを抜くと作業がしやすいです。



こちらも写真のように交換。
オレンジ色のコネクターに接触しないように取り付けましょう。
なお、写真で使っている万力は100円ショップで入手した小型万力で、このように小さな基板を加工する際には非常に便利でお勧めです。



余談ですが、SHQ PACK 基板にはNECのロゴがプリントされています。



ハイファイオーディオ基板です。
オーディオ用コンデンサがふんだんに使われていて、FS65の音に対する意気込みを感じます。
(後々の調べで、FS500にも同じようにオーディオ用コンデンサが使われていました。バブルですねぇ・・・・。)



何のICか不明ですが、月産数十万台を誇る(誇った)松下だけに、専用ICを起こして使ってます。


ここまで作業したら、元の手順で基板を戻します。
配線が結構多いので、取り回しに気を付け、断線やコネクタ抜けしないようにチェックして下さい。

これで修理完了です!


以下、簡単なインプレッションです。


FS65の最大のウリといえば、このアナログメーター。
東芝からアナログメーター搭載のビデオデッキが登場し、マニア層から好評を得たので、マネ下らしく同様のコンセプトデッキが登場しました。
ただ、東芝がアナログメーター搭載デッキをシリーズ化されたのに対し、松下はFS65のみでした。
左右独立録音ボリュームは、あまり使い勝手はよくありません。(左右別々にレベルを変えることはない)
真ん中のインジケーターボタンを押すと、蛍光管表示とメーターのバックライトをON/OFFできます。



メーター拡大写真です。
メーターはかなり小さいので、実用性は低いのですが、業務用デッキらしくて格好いいのは確かです。



フロント・操作パネルです。
リモコンがなくても一通りの操作が可能です。
スイッチの配列も松下のビデオデッキ共通で、使い勝手は良好です。



背面、トランス部分です。



トランス内部です。
赤い矢印の配線が電源ユニットからつながっています。
FS500にはこの配線がありません。



背面入力端子群です。
金メッキは当然で、S端子もフロントと背面に2つあります。



FS500(上)との背面比較です。
機種が異なるものの、見事に共通化されています。



底面から見たGメカです。
劣化やスリップの原因となるゴムベルトが見事に排除され、オールギアで構成されています。
ベースはアルミダイキャストで、ギアの割れさえ起こさなければ、メカは長寿命で信頼性が高いです。
この辺も量産効果を狙える松下の強みですかね。