OTTO Noise Reduction Adapter NRA-3300 修理レポート







最近OTTO(三洋電機)のSuper D方式ノイズリダクションユニット・NRA-3300を入手した。
年代物の割にそれほどコンディションは悪くないものの、大音量時に左チャンネルからチリチリと歪んだ音が聞こえるいう問題を抱えていました。
小音量時には発生しないため、おそらく部品劣化によるものと推察、部品交換で直りそうだったため着手しました。
以下はその記録です。随時更新のため、いつ完結するか分かりません。悪しからず。


 NRA-3300 内部の様子(左がメイン基板、右が電源・メーター制御基板)



2003年9月23日

このユニット、ケミコン(電解コンデンサ)が非常に多く使われており、経年劣化を起こしていること確実なので、総交換することにした。
そのために1つ1つ耐圧と容量を調べ、頭の部分にマーキングしていく。


回路図があるので、それを使うのも一つの方法ではあったが、実際の回路優先ということで。
ちなみにケミコンは80個もあった。どういう訳かバイポーラ(無極性)タイプが多い。
当時のケミコンのうち、ニッケミ製に容量の小数点表記で不可解なものがある。
これはメーカーに問い合わせるしかなかろうと言うことで、メーカーHPから質問を送った。


 容量が謎のケミコン(小数点の位置に注目)



2003年9月24日

さすがは日本のメーカー、早々に回答が来た。
メーカー側でも詳しいことは分からないが、サイズで容量を区別できるとのこと。(スズキさん、回答ありがとうございました)
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SM50V品の場合、製品サイズにより判別が可能ですのでご確認ください。
2.2μFの場合 :φ5×11L
22μFの場合 :φ6.3×11L
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これで購入すべきケミコン全てが判明したので、雨の中、ケミコン購入のため仕事帰りにアキバへ立ち寄る。
雨の日のアキバは歩きにくいので苦手。
別に決めているわけではないが、大抵の物が一通り揃う千石通商へ向かう。
あの急な階段を下り、パーツコーナーへ。
何せ数も種類も多いし、違うタイプが混じっていることもあるため、1個1個確認してたら、まだ半分も終わってないのに閉店のアナウンスと蛍の光のメロディーが。( ̄□ ̄;あわわ
最近はどこも夜8時9時閉店が当たり前なので、アキバが一般的に閉店時間の早いことをすっかり忘れていた。
こうなったら1個1個検品していられない。別物が混じっていないことを信じて、取りあえず個数を確保。
実はNRA-3300×2台分と、adres unit NR-5のケミコン、計3台分を購入するつもりだったため、全部で200個近いケミコンが必要だったのだ。
慌ててレジに持っていったら、2台のレジのうち1台は締めを終えてしまい(早すぎるっちゅーの)、もう1台で閉店間際の駆け込み客を捌く状態だったところに、山盛りのケミコンを持ち込んだものだからレジが完全にストップ。
電池ボックス1個を買うために15分も待ったオジサン、ごめんねぇ。でも私が悪いんじゃないんです。
208個のケミコンに3840円払って、シャッターが半分降りたお店を出る。
仕事後にこんなことで急かされたため疲れてしまい、晩御飯は中央通りの松屋で済ませる。
290円の並盛りを食べながら、今日のケミコン代で13杯食べることができるなぁ、最近自分が290円を一単位とした「並一丁(=290円)」で計算することが増えたなぁと気が付いた。



2003年9月27日

やっと来た週末。
3300の分解は面倒で、特に基板半田面を出すには、本体を3枚におろす必要がある。
説明するのも面倒なほど作業しにくいんだが、取りあえずがんばって説明してみる。

1,本体両サイドの計4つのビスを抜く。
2,電源ボタンを除くツマミやボリュームノブ全てを引き抜く。
3,フロントパネルの上面と下面のビス計8本を抜く。2本は他の6本より短いのでメモすること。
4,フロントパネル両脇のビスを抜いてを取り外す。
5,底面と側面は一体なので、背面・基板・電源部分を接続しているビスを抜く。電源トランスを固定するビス2本、電源基板固定ビス2本、電源と基板を区切る、L型シールド板と底板とを固定するビス1本、背面の両端にある黒いビス4本、背面中央にある黒いビス1本を抜く。
  最後の黒いビス1本は、底板を外した後また元に戻しておくと作業がしやすい(外したままだと、回路基板と背面板が分離して作業しにくい)。
6,これで基板とフロントパネルとリアパネルだけの裸の状態になる。今後はこの状態で作業する。


やっとの思いで基板半田面を露出させたら、今度はケミコン80個の交換。
注意深く、片っ端からケミコンを取り替える。
単純作業だが、80個ともなると、半田吸い取り線や吸入ポンプでは効率が悪い。
最近買った電動式の半田ポンプが大活躍したものの、それでも全て終わったのは3時間後。




実はこの段階で問題は解消するものと予想していたので、動作も確認せずに分解と逆手順で組戻し&動作確認。

  ( ̄▽ ̄; ありゃぁ、何も改善されてないや

経年物の動作不良なんて、大半がケミコンの容量抜けか部品の接触不良だからと、高をくくっていたのに、思い切りハズしてしまったらしい。
また分解して基板部分を取り出し、回路図と照らし合わせてチェックポイントの洗い出し。
3300の基板、困ったことに重要な調整用半固定VR部分にしかリマーク(番号)を印刷していない。
だから折角回路図上にIC101やR205という通し番号が振ってあるにも関わらず、基板上でどの部品が該当するのか全く分からない。


調整用VRにはSVR10x(右チャンネルはSVR20x)の表記があるが、ICや抵抗類には何ら番号が振られていないため、回路図と照らし合わせながら裏面のパターンを追いかける必要がある。


しかもトランジスタはC536、OPアンプは4558を多用しているため、どれがどれなのか、区別することは不可能に近い。
よって、回路図と基板とを見比べながら、自分で対照表を作るしかない。
しばらく我慢して作業を続けてみたものの、あまりの効率の悪さに疲れてしまい、コンパンダーICのNE570を左右入れ替えてみたりもした。
これで状況が変われば、ICの不良ということで落ち着くわけだが、ICがそんなに頻繁に壊れるはずもなく、IC差し替えでも全く変化なし。



分解ついでに、フロントパネルの各種切換えスイッチも取り出して接点クリーニング。
このスイッチを取り外すのも一苦労。
結局半田を全て取り、ネジ2個を外し、他のスイッチとフロントパネルシャーシとを固定するネジもゆるめて、やっと抜き取ることができる。滅多に壊れない部品ではあるが、メンテナンス性は最悪。

つまり最も面倒で最も苦労のし甲斐がある、一般回路部分に問題があることになった。
やはり回路図を見て、問題点を探すしかないようだ。
諦めも早いが妥協も早いので、根気よく修理することに。今週は時間を使い果たしたのでここまで。

ちなみに、今回修理している3300はどうやら後期ロットらしい。
念のため基板番号写真を。(つまり基板番号が異なれば、部品の数も変わる可能性がある)



メイン回路基板


基板上の日付らしきシール



電源基板


こちらは電源基板月日シール




2003年10月12日

平日は長距離通勤のため、週末は普段の雑用片付けで、なかなかまとまった時間が確保できない。
ヒマさえあれば基板を見て、怪しい部品や半田クラックがないかどうか、探偵ホームズよろしく拡大鏡で調べてみたものの、これといって疑わしい箇所はない。
オシロスコープで波形を観測してみるものの、信号そのものが歪むのではなく、信号の背景でノイズが出る性質の問題だけに、確証をもって原因を突き止めることもできなかった。
で、待望の3連休、腰を据えて基板と回路図とにらめっこ。
ICが壊れる確率と、ディスクリート回路が壊れる確率とでは、経験則では後者の方がずっと高いんだが、録音再生信号の経路を途中でカットし、左右入れ替えてみても相変わらず左チャンネルだけに歪んだノイズが聞こえる。
つまり、トランジスタやダイオードで構成される回路部分には問題ないことになる。
そこでふと気付いた。
常にノイズが出るならともかく、大音量時のみということは、ゲインコントロール系回路に問題があるのでは?
回路図を見ると、時定数補償回路とリミッター回路を構成する、4回路OPアンプICのLM324Nと2個の4558がある。

さてはこれか?

これまで全くノーマークだった部分だけに、軽い興奮を覚える。
6個のIC全部を左右入れ替えて動作テスト。
ノイズリダクションシステムの動作チェックに最適なピアノ曲とは言え、もう数十回も聞かされて飽きてきたショパンの幻想即興曲で録再テスト。



やった!!ヽ(^▽^)ノ
ノイズが右チャンネルから聞こえる!




更に4558を戻して、再度テスト。
それでもノイズは右チャンネルから聞こえる。
どうやらLM324Nが死にかけているらしい。


 容疑者LM324N (23才、無職) ぉぃ


まさかこの部分に問題が起きるとは考えなかった。
実はもう1台の3300も、再生時に右音量レベルが低下する問題を抱えている。
未確認だが、あるいは原因は同じかもしれない。
LM324Nなんて市販価格で1個100円もしない代物、そのためにわざわざ秋葉原まで往復3時間かけて行くのももったいないので、最近よく利用する通販でLM324Nを注文することにした。
配達は早くて水曜日なので、今日はここまで。



2003年10月15日

さすが日本、予定通り部品が配達されました。
通販を行っているパーツ屋は数多くあれど、まとめてオーダーする必要があったり、部品より送料の方が高かったりする。
私がよく利用する"コスモ電子"のNET通販なら、送料が200円(ヤマト運輸のメール便)で2営業日以内に発送してくれるので、非常に重宝している。価格もアキバまで出向く時間と手間を考えれば許容範囲。

(株)コスモ電子
茨城県水戸市塩崎町49-4
TEL029-269-1095【通販専用】
FAX029-269-4129

取り扱いパーツは以下のページを参照
http://cosmo-denshi.co.jp/buhin/denshi_buhin.htm

さて、問題のLM324Nを交換するわけだが、片チャンネルだけ交換しても、当時と現在では特性が変わっている可能性もあり、後日右チャンネルが不調になったときにまた分解するのも億劫なので、両チャンネルまとめて交換することに。
電動半田ポンプがあるので、これまで苦労してきたICの半田吸い取りが楽々。LM324Nならまだ許せるけど、40ピンもあるようなICの交換なんて、やっているウチにメゲてしまう。


 交換後のLM324N


左右チャンネルのLM324Nを交換し、配線や半田クズをチェック、問題ないこと確認して動作確認。
また幻想即興曲を録音・再生、無事修理できているか感動の一瞬。


 ヽ(@^▽^@)ノ 直ったー!


ノイズが乗っていた左チャンネルが直ったのは当たり前、これまで問題ないと思われた右チャンネルもノイズが減って見違えるような音に。
やはりICも20年という年月を経ると、かなり劣化が進むものですね。
もちろんCDの直接再生とテープ録音とを比較すると、明らかな差が認められますけど、20年前の低性能なカセットテープに録音したものとは思えない音質で再生できるというのは、やはり画期的だったに違いありません。

取り敢えずここまで。



2003年10月17日

もう1台、右チャンネルの再生レベルが左チャンネルより低いという問題を抱えているNRA-3300があるので、勢いに乗ってこちらも手を出してみた。
前回(半年前)、回路を追いかけている途中で忙しくなって挫折、そのまま放置してあった機種だが、今回は基板半田面を見てみようと分解してみた。
よく見ると、誰かが修理した形跡がある。しかもお世辞にもプロがやったとは思えない、雑な仕上げだ。
ふと見ると、半田忘れが一箇所ある。右レベルがおかしくなるのも無理はない。



取り敢えずきれいに半田付けをやり直し、改めて再生テスト。


おおっ!右レベルが直った! (^-^)v
ん?でもノイズが聞こえるぞ・・・・!?


半年前は気付かなかったが、両チャンネルから先日直した3300と同じようなノイズが聞こえる。
ははーん、またLM324Nか・・・・そう思ってスペアに買っておいたLM324Nに交換、再生テスト。


 ( ノ ̄∇ ̄)ノ 今度もOK!


どうやらLM324Nの寿命らしい。
現在、日本全国に何台の3300と5500が現存するのか分からないけど、おそらく問題があるとすればこのLM324Nを疑っていいと思う。
で、この後、ケミコンを総交換すれば、もう1台現役復帰の3300ができるわけだが、既に1台あるので、こちらの3300は現状保存することにした。
そんな機会が巡ってくるのかどうか、おそらくないとは思うけど、発売当時の状態を見る必要ができた時の参考になるのではないかと。
なお、本機の基板番号と日付(?)シールは以下の通り。




基板番号(Aロット)



意味不明の数字だが、前回の例に倣えば、日付のはず。


−完−