Victor Cassette Deck KD-A55 修理レポート







2003年10月13日

20年以上昔のカセットデッキをハードオフでジャンク品として300円で購入した。
ジャンクの理由は「再生せず」。おそらくゴム部品の劣化であろうと推察。
見た目はあまり程度がよくなかったが、大きな傷はなく、丁寧に磨けばそれなりに綺麗になりそうだったことと、今は亡きビクター独自のノイズリダクションシステム"ANRS"と"Super ANRS"を搭載していたので、300円と言うこともあって入手。
帰宅後、早速電源ON。VUメーターとテープフォルダのランプは幸いにも点灯。
テープを入れて再生ボタンを押すとやはり再生しない。しかし早送りや巻き戻しはできる。
ボトムカバーを取り外して駆動メカを観察。
一目見て、フライホイールが全く回転していないことを発見。
モーターの回転をゴムベルトで伝えて駆動する仕組みだけど、これが全く回転していないのだ。
ベルトは見た目問題ないし(あるいは交換した前歴があるのかもしれない)、モーターもフライホイールも固着している様子でもない。
手で回せば軽く回る。
原因が分からないままいろいろテストしていたら、突然再生できるようになった(フライホイールが回転するようになった)。
それも動くときはずっと動くし、動かないときは何やっても動かない。
いろいろ試したところ、結局原因はカセットフォルダにあるテープ挿入検出スイッチの接触不良だった。
カセットフォルダをやや強めに押し込まないと、このスイッチがONにならないらしい。
ところがこのスイッチの接点、駆動メカの奥にあってそう簡単に到達できない。
そこでスイッチをガチャッガチャと何度も押して接点を活性化させ、カセットフォルダがしっかり奥まで入ってロックされるよう調整したところ、ほぼ100%問題なくテープを検出してモーターが回るようになった。



多少の出費(部品代)は覚悟していたものの、結局ゼロコストで修理完了。
こうなれば、あとはパネルやツマミをきれいに磨くだけ。気楽なものです。
以下、簡単に機種紹介を。




A55はビクター伝統のレイアウト(左にメーター、右にカセットフォルダ)なので、基本操作は全て右手で事足りるし、アナログVUメーターにLEDのピークレベルインジケーターが付いていて、録音レベルをモニターしやすい。
A55から何年も後に発売されたDD-VR7(上段)にも、レイアウトも録音レベル調整のしやすさもビクターの伝統が生きていたように思う。
そのビクターも、バブルの頃からだんだん没個性化してしまい、全く魅力のないメーカーになってしまったのは返す返す残念なことである。


ヘッドの素材はビクターご自慢のSA(センアロイ)ヘッド。
このロゴに見覚えのある人も多いだろう。
SAヘッドは、この当時から既に採用されていた。



録再兼用の2ヘッド構成だが、豪華にもミュージックスキャン用(?)にヘッドがもう1つ付いた、変則ヘッド構成となっている。
左から消去ヘッド、録再ヘッド、ミュージックスキャンヘッド。



ノイズリダクションシステムはビクター独自のANRSとSuper ANRSのみ。
ドルビーB全盛時代にも関わらず、ドルビーBと(表向き)互換性があることになっていたので、敢えて純ビクター仕様になったのだろう。専用ICも2個入っている。
テープタイプは4種類マニュアル切替。
今では見ることもなくなったフェリクロームモードが懐かしい。



この当時のデッキは、ポータブルでなくてもマイク入力付きの物が多い。
上部にPEAKと見えるのは、ピークレベルモニター用のLED。
普及機はまだ針式VUメーターが主流だったので、左右チャンネル兼用の簡易ピークレベルLEDが付いている。ビクターのカセットデッキは録音レベルモニターに力が入っていて、DD-VR7の時代にはピークレベルを数字で表示し、入力ボリュームにも1dBステップのメモリが付いていた。おかげでオーバーレベルによる録音失敗はほとんどなかった。



1979年の広告です。
メタルテープが登場し、各社"メタル対応"を大々的に打ち出していた頃です。
広告によると、A55の前モデルA5が定価59800円、ワウフラッター0.04%(WRMS)となっています。
上級機A6/A8に搭載されていたSuper ANRSをA5に搭載して登場したのがA55だと思われます。