三菱 Video Cassette Recorder HV-S75 修理レポート







2002年10月18日

中古・ジャンク品を売るハードオフというチェーン店がある。
ビデオ・オーディオ・パソコン・楽器・CDやレコードなど、新古品からどうしようもないゴミまで売っていて、しかも中にはいったい何十年前の電気製品!?というものまである。
価格もジャンクビデオは100円からあったりして、部品取りに買う人も多い。
今日、たまたまハードオフの前を通りかかったので、吸い込まれるように店内へ。(^^;
ウチの近所にあるハードオフは、いつもロクなジャンク品がないのに、今日に限って棚に収納できないほど大量の中古ビデオデッキが入荷(?)。
棚が足りないから、店内の床にまでビデオが並んでる・・・・・・しかも並べるその脇から次々とお客が買っていく。
1万円少々で新品のビデオデッキが買えるご時世に、こういう物を買い漁るヤツの多いこと。<あんたもその一人だろ
ざっと一通り見渡して、その中で一番「(<爆)」が出てるビデオを捕獲した。

その名も三菱 HV-S75
発売は1990年頃、定価183000円。それが今ではたった800円
3割4割は当たり前のビックカメラもビックリ、定価の99.6%引き!(ぉぃぉぃ)

たった800円で売られていたこのビデオデッキには、今では考えられないものすごい技術が使われている。
あまりにコストがかかりすぎて、今じゃ三菱も全く採用する気がない。
メカシャーシがアルミダイキャストなのは当たり前、ツインフライングイレースヘッド、ピクチャーサーチの時にノイズバーを出さずにサーチ画像を表示するノイズイレーススピードサーチ(デジタルメモリーを使わず、ノイズバーなしのサーチ画像を実現!!)、必要ない人には全く必要ない、コストアップの要因になるだけだけど、こういったテクノロジーを開発して商品化する当時の意気込みを感じます。
で、このS75を土台に、三菱のビデオデッキ最高峰マシンVシリーズが誕生します。


今は亡き、ノイズイレースヘッドの全景。
サーチノイズをなくすために、わざわざこんな技術を開発するメーカーはない。
このヘッド一式で、今の安物ビデオデッキを何台買えるんだろう・・・。




シーリングポケット内のスイッチ・ツマミ類。
まだメンテ前だから汚いけど、ツマミがいっぱいあるだけでワクワクします。(笑)
本体でこれだけいろいろ設定できる機種も今では減りました。
ハイファイ音声レベルが手動設定できたり、VISS/VASSという今では幻の機能もまだ付いてるし、当たり前の機能が当たり前に付いてるのが素晴らしい。


ちなみに症状は、「電源は入るけどテープが中に残ったまま取り出せない」というもので、未保証品。
ま、そんなの楽勝〜♪。
後から来た若い兄ちゃん、私が捕獲したS75を恨めしそうに見送ってたが、ジャンク品は早い者勝ちなんだよ。
( ̄ー ̄)フッフッフ
家に帰ってS75のトップカバーを開け、テープを取り出す。
この当時の三菱のビデオデッキは、高速巻き戻し・早送り(200倍速だったかな)がウリだったんだけど、テープの最初(あるいは最後)に近づいても減速することを知らず、そのままテープをぶち切ることがあったらしい。(ぉぃ)(後日談:ブレーキ部品が摩耗すると、テープトップ&エンドでブレーキをかけても止まらなくなり、結果的にテープが切れるんじゃないか・・・・という気がする。)
そのせいなのか、今回も切れたビデオテープが入ってた。で、どういうロジックか知らないけど、テープが入ってるのにテープを検出できず、無限ループに陥ってた感じ。
ビデオカセットを取り出した後、一通りチェックして、ゼロコストで修理完了。(^-^)v

テープが取り出せなくなったぐらいで捨てるなよ、こら!

かなり古いビデオデッキだから、パッド類は摩耗してるし、完全に修理するには部品交換が必要。
三菱の場合、消耗品をキットにして販売しているから、それを取り寄せて交換すれば、ビデオヘッド以外の摩耗部品は全て新品になる(ヘッドはもう三菱に在庫がないらしい)。
また、三菱のビデオデッキ特有の欠陥に、チップケミコンの劣化・液漏れがある。
電解コンデンサーはいずれ劣化するものだけど、電源コンデンサとチップケミコンだけは、仮に今正常動作していても、ほぼ確実におかしくなるので、ジャンク品を入手して修理する際は、まとめてコンデンサを交換しておいた方がいいです。

思ったより状態がいいので、S75は完全に直して使うことにします。
何てったって、我が家で初のSVHSだし。(笑)
コンデンサと消耗品キットが手配できたら、いよいよ若返り手術(?)です。

-- To be continued --


2002年10月24日

消耗品キットとケミコンを入手したので、早速前回の続きを・・・。

まず、表から見えるネジを全部外して、サイドウッド(木じゃなくてプラスチックだから、サイドプラスチック?)・トップカバー・ボトムカバーを取り外します。フロントパネルはツメで引っかけてあるだけなので、ネジは使ってないです。
これで上下左右・フロントの5面が取り外し完了。
基板は何層にもなっていて、目的の基板は下の方にあるため、基板上に見えるネジ数本と、背面のピンジャック部分にあるネジ4本を抜きます。
表示部につながる白いフレキ2本を抜くと、基板がまるで本のページをめくるようにパタンと開きます(この辺の設計は非常によくできてると思う。ただその関係か、ケーブルが多過ぎる)。


1枚目の基板を起こしたところ

次に、2枚目の基板も起こします。
側面に固定ネジが1本あるので、これも抜きます。
2枚目の基板を完全に起こす必要はありませんが、基板と垂直に付いているミニ基板を取り外せる程度に立てる必要があります。
目的のミニ基板は、正面上から見て、右側面中央にある基板(1)と、左側ディレーラインに隣接する基板(2)です。

 

基板(1)
赤丸部分が、交換の必要なチップケミコン。
容量は16V10μF。



基板(2)
容量は35V4.7μF。


これらのチップケミコンを取り外し、通常のケミコンに取り替えます。
ウチのビデオデッキは、それほど液漏れを起こしていませんでしたが、時間の問題でした。
なお、私はチップケミコンを取り外すとき、力を入れすぎてしまってパターンを道連れにチップコンデンサを取り外してしまいました。(汗)
これをやると、後が大変です。力はほどほどに。(^^;

さて、最後の大物がヘッド直下にあるチップケミコン。
ヘッドを取り外すのがこれまた大変で、随分悩んでしまいました。
チップケミコンの場所は、デッキを上下ひっくり返した時に、ヘッドの脇に見えるヤツです。


このチップケミコンに到達するためには、ヘッドユニットを丸ごと摘出する必要がある。
面倒だけど、このチップケミコンが劣化すると、まず確実に画像劣化をもたらすため、早期交換が望ましい。
容量は50V3.3μF。

他の方の修理記録を見ると、ここの空間が狭いため、普通のコンデンサの取り付けに難渋している様子。
そこで、小型のケミコンを千石電商で発見したので、それを使うことに。

 

左がチップケミコン、真ん中が秘密兵器(?)のミニサイズケミコン、左が通常サイズのケミコン。
値段はミニサイズが1個15円と、通常サイズより1.5倍もするけど、10円が15円になったって大した事ないのだ。

ヘッドユニットの摘出手順は、
 1,ユニット底部にあるヘッド固定ネジ3本を抜く
 2,下の写真の赤丸部分を取り外す

 

ヘッドに隣接するシールドボックスのシールド板を取り外すのがポイント。これになかなか気付かず、随分悩んでしまった。(写真はシールド板を取り外した状態)
ネジを1ヶ所、シールド内部のフレキコネクタを1ヶ所、通常のコネクタ1ヶ所、NEスリップリングのコネクタ1ヶ所、これでヘッドユニットを抜き取ることができます。
くれぐれもヘッドに直接触らないように・・・・。


ケミコンを交換したところ。
元のチップケミコンより若干大きいけど、ギリギリクリアできるサイズです。



さっきとは逆の手順でヘッドを元の位置に取り付けます。
ついでに、静電コンタクト、NEスリップリング、ロータリーエンコーダーの接点クリーニングをしておきます。


ヘッドユニット側静電コンタクト部分です。
かなりゴミが付着してました。



静電コンタクトです。こちらも案の定、相当汚れてます。
接点クリーニングの後、接点グリスを微量塗っておきました。


ロータリーエンコーダーです。
こちらはそれなりに汚れていたものの、まだ大丈夫なようです。
これも接点クリーニングのあと、接点グリスを塗っておきました。


ヘッド基板のミニケミコン装着の図。
鋭い人は、上の方にある写真とケミコンの取り付け形状が違うことにお気付きだと思います。
それは当初極性を間違えたまま半田付けしてしまい、後で慌てて付け直したので、ケミコンの向きが180度変わってます。
お恥ずかしい・・・・。(^^;
なお、寸法はピッタリなので、ミニケミコンはお勧めです。
かなり楽できます。5円多く払う価値あります。千石偉い!


次に、消耗部品交換です。
三菱は消耗品をキットにして販売しているので、これを利用します。
最寄りのサービスステーションへ行って購入。1900円+税。


キットには部品・手順書だけでなく、グリスや接着剤も入ってます。
三菱のビデオは初めて修理したのですが、このキットは便利です。これ1つで、およそ考えられる消耗品を一度に交換できます。
もちろん部品のばら売りもしているようですけど、こういうものは一度に全交換しておいた方が後々楽です。
なお、機種が異なっても、メカが同じであれば共通なので、このキットは次の写真に掲載されている機種でも使えます。




交換方法は、手順書に従って作業してください。
写真を撮りながら作業すると、リズムが狂うので、交換中は写真を撮りませんでした。
手順書の図解が分かりにくいので、作業前に予習しておくといいでしょう。
なお、必ずしも全ての部品を使うとは限りません。
機種によって若干の差があることや、以前修理を受けたことがある場合は、既に部品交換済みだったりします。
ウチのS75も以前修理された経歴があるらしく、いくつかは既に壊れにくい部品に交換済みでした。


交換後のブレーキパッド。
すり減っていてほとんど用をなしません。
高速巻き戻し・早送りしてエンドでテープを切断するのも、このブレーキが摩耗して既定の位置でテープを止めることができなかったからではないでしょうか?
しかしこれだけ技術が進んだのに、回転している物体を止めるのにパッドを押し当てて摩擦で止める以外に手段はないものでしょうかねぇ。


これでひとまず完了です。
早速テストランしてみたところ、メカの動作も画像も全く問題なしです。
購入価格840円+キット1995円+ケミコン36円、計2871円で、ツインフライングイレースヘッド&ノイズイレースヘッド付きSVHSデッキを手に入れることができました。(^o^)v
ヘッドが中古のまま(しかも保守在庫なし)なので、ヘッドの寿命=デッキの寿命ですが、それでもしばらく使えそうです。
再生中に早送りボタンを押すと、最初の数秒は画面にノイズバーが出ますが、しばらくするとノイズバーは全く消え、まるで早送りの映画を見ているようなノイズゼロのサーチ画像を表示します。
ヘッド技術だけでノイズゼロを達成した三菱の技術力(と執念)に脱帽です。これはすごい!!

なお、S75の電源部分はかなり発熱します。
電源ケミコンが寿命時期である上に、熱で寿命が縮んでいることが考えられるので、電源コンデンサ(特に大きい4つのケミコン)を交換する予定です。
電源に使われているケミコンは、35V2200μF・35V1000μF・25V6800μF・25V4700μFです。
これら全て耐熱85度のものなので、余裕を見て105度のものに交換です。
参考までに電源回路のリップル成分をオシロスコープでチェックしたところ、DC20Vに対し約1.5Vp-pのリップルが出ていました。
これは今後のために交換しておいた方が無難ですね。
万が一電源が飛んで火事になったら、日本で一番高価な中古ビデオデッキですもんね。(笑)


-- To be continued --


2002年10月25日

電源部のケミコンを交換しました。
交換はそれほど難しくないです。電源トランスの3本のネジを抜き、コネクターを片っ端から抜き取れば、電源基板が本体から抜けます。
電源部なので、作業完了後に基板を再チェックしておきましょう。半田クズやリード線が残っていて、ショートでもしたら面倒です。
ケミコン交換後のリップル波形は、約半分の0.8Vp-pになりました。



ケミコンは、4本中2本が液漏れ状態、1本が液漏れ寸前でした。
交換して正解だった。(^o^)







これで修理完了です!☆



今の安物プラスチックパネルビデオに、この重厚感を出すことは不可能です。
堂々たる風格を感じますね。



全ての機能が本体で操作できるのも、この当時のビデオデッキの魅力です。
この当時のビデオデッキだから、こうやって修理して使うことができるんです。
リモコンで全てを操作・設定する今のビデオデッキじゃ、本体だけ中古を買ってきて修理しても使えない。(怒)


-- The End --