Nakamichi High-Com II Unit Repair Report







2004年5月23日

High-Com II (ハイコムII)は、ドイツ・テレフンケン社が開発したHigh-Com方式をベースに、ナカミチが独自に開発したNR方式です。
残念ながらナカミチ1社しか採用しなかったため、High-Com II方式は全く普及しませんでしたが、音質変化を最小限にすることを目指して開発されたので、ナカミチファンだけでなく一部ユーザーにも根強い人気を誇ります。(ユニットの詳細については、メインページのHigh-Com II方式紹介ページをご覧下さい)

今回、格安で程度の良いユニットを入手しました。
目立つキズが数ヶ所あるものの、直前まで使われていたのかスイッチやボリュームにガリはなく、ピンジャックも錆びていないので、いわゆる「当たり」かと思ったのですが・・・・。
24時間のエージング後に録再テストしてみたところ、ヒスノイズが減るどころかブリージングノイズ発生器かと思うほどノイズが目立ち、とても聴けたものではありません。
ただ、音楽がない時はノイズが減っているので故障ではなく、動特性の劣化、即ちケミコンの劣化であろうと推察、総交換を行ってみました。



側面にある計4個のネジを外すと、トップカバーがはずれます。
筐体中身は1枚基板で、準シンメトリカルな部品配置となっています。




ボトムカバーは、底面にある6個のネジを外すと簡単に取り外しできます。




片っ端からケミコンを交換します。
今回のユニットには全部で49個のケミコンが使われていました。




数個、このように液漏れしたような状態になっていました。
やはりケミコンの経年劣化は避けて通れないようです。




ケミコンを総交換した後の状態です。
当時に比べてケミコンの物理的サイズが一回り小さくなっているので、リード線の間隔が合わず、どうしても基板から1mm程度浮いた状態になってしまいます。




半田ブリッジやリード線の切れっ端が残ってないかチェックしていたら、何とHigh-Com ICのピンが1本曲がった状態でソケットに入っており、全く導通していないことを発見しました。
それでも影響が出ていなかったのは、たまたま未使用ピンだったからでしょうか。




本ユニットに限らず、古い機器に使われているICの多くはみんなこんな感じでピンが黒く汚れており、多少なりともピン間の絶縁性が落ちている可能性があります。
気休めかもしれませんが、私は必ずアルコールで汚れを除去するようにしています。




ピンの汚れを綿棒で拭いた後の様子です。
このようにかなり汚れています。



さて、チェックを終えたら試聴です。
眠っていたケミコンを起こすため、CDをリピート再生状態にして12時間ぶっ続けで音楽ソースを入力し、回路のエージングを行います。
今回は深夜にエージングを行なったのですが、暗い部屋でアナログメーターが音楽レベルに合わせて振れている光景は、何ともアナログ的な雰囲気で、ホッとするものがあります。
ケミコン交換の効果ですが、やはり全然違います。
ブリージングノイズが減り、古いノーマルテープでも目立たなくなりました。
adresユニットやSuper Dユニットでもそうでしたが、古い機器はケミコンを総交換した後は音質が激変しますので、絶対に交換することをお勧めします。
ただ正直なところ、High-Com II方式は、音質劣化は少ないものの、ノイズ低減効果は(ナカミチ自身が認めているように)劇的なものではなく、adresやSuper Dと比較試聴するとヒスノイズレベルがやや高いのは事実です。
高性能テープ(メタルやハイポジ)を使えば、また違った結果になることは明らかですが、ピアノ曲ではやはりブリージングノイズが聴取されますし、他NR方式の数倍の価格で取り引きされていることを加味すると、やはりNakamichiブランドが実際以上に評価されている感があります。

以上