SONY DAT Deck DTC-57ES Repair Report







2003年12月29日

ソニーのDATデッキ「DTC-57ES」故障品を入手しました。
故障症状は、メカは正常に動作するが音が出ないというものです。
この症状、DTC-57ES(以下57ES)の持病とも言えるもので、半ば確信を持ちつつ入手した次第。
書斎のイヤースピーカー用に、CDプレーヤーだけでなくDATデッキも欲しかったので、ちょうどいいタイミングで入手できてよかった。(^o^)

57ESの発売は1991年、定価88000円。
前代モデルの55ESが99800円だったのに対し、性能同等にも関わらず定価を一気に1万円ダウンしたソニーの戦略モデルです。
内蔵のD/Aコンバーターには外部入力デジタル信号をアナログに変換出力する機能もあり、D/Aコンバーターとして十分使用に耐えうるクオリティを持っています。
また、各種IDがリモコンなしに本体だけで編集可能であることも、DATヘビーユーザーには好評だったようです。
その分フロントパネルが煩雑になっていますが、そこはソニー、うまくデザインしてあると思います。(さすがに最初はボタンが多くて戸惑いましたが・・・(^^; )
ただし、コストダウンがしっかり行われているのも57ESの特徴で(?)、ボタンやスイッチの素材がプラスチックになってしまいました。
メカのローディングガイドはプラスチック化され(ぉぃぉぃ)、耐久性が落ちているのは残念です(セミプロ(業務用)のDTC-A7は、この57ESをベースにしたものですが、この軟弱な作りで果たして何年稼働したことやら・・・)。
その他、すぐボロボロになるヘッドクリーナー(数年でヘッドクラッシャーになる)を装備してみたり、モーターのトルクが落ちて巻き戻しが苦しくなったり、内蔵時計(テープに録音日時を記録できる)のバックアップ電池が消耗すると日時を覚えてくれなくなるなど、ソニータイマーもしっかり内蔵済みです。更に、これまでの物量投入路線を否定するかのように無駄が省かれ、大きさの割に軽い(中身もスカスカ)のも特徴の1つになるかもしれません。

しかしそうは言ってもソニーの戦略モデル(ES型番)だけあって、C/Pに優れた中級DATデッキの実力はあります。
以下はその57ESの持病の1つであるRFアンプユニット交換のレポートです。



サイドウッドを取り外し、トップカバーを開けたところです。
この頃にもなると回路は集積化され、かなりすっきりしています。
ご覧の通り、オーディオ用パーツは見当たらず、"制振"の概念もどこかへ消え去ってしまいました。
(言い換えれば、改良の余地がいっぱい残されているということですね)




ソニーご自慢の、フロントから見てテープの残量が目視できる正立透視型カセットコンパートメントです。
そのメカに背負われるように取り付けられている、シールドカバー付きRFアンプユニットが今回のターゲットです。(赤丸部分)




4ヶ所の半田付けを取り除くと、シールドケースと基板が分離します。
基板の上には、例の部品が6個(6.3V 22μFが5個、35V4.7μFが1個)あります。
メカは正常なのに音が出ない(メーターが振れない)ならば、まずこの基板が疑わしいです。
RF Ampが逝ってしまうと、
 音声出力は「ザッ…バリバリッ・・・(無音)」
 「カチカチカチカチ(内部からリレー動作音)」
 ディスプレイはサンプリング周波数表示が点滅
という症状が出ます。




で、チップコンデンサを総交換。
ちょっと苦しいですが、シールドカバーが取り付けできるようにうまくコンデンサを配置します。
なお、RFアンプだけあって、コンデンサ交換後のテストは完全に元の状態(シールドカバーを取り付け、元の位置にネジ止めして固定)に戻さないと、再生音が歪んだりノイズだらけになります。




コンデンサ交換に自信がない人は、ソニーにこの部品を発注すれば手間が省けます。
ただし、基板上のコンデンサは表面実装タイプなので、また時期が来れば交換が必要になるでしょう。




ちなみに上記保守パーツにあるDTC-P7というのは、海外向けミニコンポサイズのDATデッキのようです。(写真左)
日本では発売されなかった珍しいモデルです。




これで修理完了です!!





2004年01月02日

57ESの問題点の1つに、巻き戻し途中にテープが止まったり、巻き戻しボタンを押してもすぐに巻き戻しが始まらないというものがあります。
これはてっきりモーターのトルクが弱くて、このような症状が起きるものだと信じていました。
実際、57ESにはこんな注意書きラベルが貼られており、ソニーも認めている現象だから仕方ないのか・・・と思っていました。


こんなラベルが貼られたテープデッキが市販されていいんでしょうかねぇ・・・。(^-^;


ところが、この症状に対して、掲示板に昴流さんから
 「リールモーター軸とプーリーがスリップするため、接着剤で固定すれば直った」
との貴重なご意見をいただき、これをヒントにもう一度57ESをチェックしてみることにしました。
なお、今回修理した57ES黒はまだこの症状が出ておらず(ま、お世辞にも巻き戻しの反応がいいとは言えませんが)、修理と言うより実験です。


サイドウッドを外し、外筐を開けます。
メカユニットは3つのネジで固定されています。
メカの耐久性はともかく、メンテナンス性はよく、この3つのネジを外すだけで、メカユニットは難なく丸ごと外すことができます。
なお、上のランプを外すと、メカユニットの脱着が一層容易になります。




メカユニットを抜き出したところです。
ケーブルを引き抜くのが面倒だったので、そのまま仰向けにメカを倒して作業します。
なお、この時に電源コードは確実にコンセントから抜き、絶縁用に紙か何か敷いて下さい。
さもないとメカユニットと電源ユニットがショートを起こし、事態を余計に悪化させることになります。




あれれ???ヽ(。_゚)ノ

既にロックタイト(?)で固定されています。
57ES黒って既に対策済み?
それとも前オーナーが修理した?
ちなみにシリアルは205661です。




ということで、問題発生中の57ES金も引っ張り出してきました。
こちらは未対策でした。
これじゃスリップするよなぁ・・・。
早速接着剤で固定。
なお、シリアルは205178です。
数字をそのまま信じれば、金も黒も生産ロットは同じような気がしますが、さて・・・・・。




更に気付いたことは、プーリーが基板と接触しています。
プーリー自体はツルツルですけど、摩擦抵抗がゼロではないので、これもトルクを落とす原因の1つかもしれません。




ということで、基板にスペーサーをかませて、基板をコンマ数ミリ浮かせてみました。
これでプーリーは誰にも邪魔されることなく回ってくれるでしょう。






2004年10月26日

ここ数日、音が歪むようになりました。
音量に比例するらしく、音が大きくなると歪みもよく聴取されます。
ヘッドアンプはケミコンを交換済みですし、「もしや、ヘッドの寿命か!?」と嫌な予感がしましたが、取り敢えず順を追って原因を調べることにしました。
黒57ESはスタックスのイヤースピーカー専用なので、まずイヤースピーカー本体をチェック。
CDプレーヤーを接続した場合は問題なし。よってイヤースピーカーは正常。
次にピンケーブルの接触や断線をチェック。別のものに交換した場合も症状は変わらないのでピンケーブルもOK。
次に57ESのヘッドフォン出力で聞いてみると・・・・これもOK。


と言うことは、ピンジャック周りが怪しい!?

(57ESのオーディオ出力信号は、最終段でピンジャックとヘッドフォン出力アンプに分岐しているので、ヘッドフォン出力が正常ということは、オーディオ回路までは異常がないと判断できる。)


早速トップカバーを外して、10ヶ月ぶりに中を見る。
半田面は基板の裏側なので、メイン基板固定ネジとピンジャックや光コネクタの固定ネジを片っ端から外し、基板にささっているコネクタも抜く。
コネクタは全て形状と色が異なるので、マーキングせずに抜けるものを抜いていけばよい。
メイン基板側コネクタが抜けない場合、もう一方のコネクタが必ず抜けるようになっているので、無理して引っ張らないように。
ネジとコネクタを抜けるだけ抜いて、基板を斜め上方向に傾けて取り外す。
そしてピンジャックの半田を見ると・・・・。


見事な半田クラック


┓(´_`)┏



この当時のソニー製品は、半田クラックが多いとは聞いていたけど、こんなに見事な半田クラックはなかなかお目にかかれない。
特に半田クラックが多かったのはピンジャックで、やはり抜き差ししてストレスが加わりやすいのが原因であろう。
ピンジャックは一度きれいに半田を吸い取って取り外し、、ピンジャックを接点復活剤できれいに磨き、再度半田付け。
折角なので目視検査で半田クラックをチェック、主な部分は再半田して基板を元に戻す。
コネクタを元に戻してネジを止め、一応本体を軽く振って半田カスやゴミが残ってないか確認、そして電源ON!


  ヽ(^▽^)ノ 直ったー!


この様子から察するに、もう一台の金57ESも、いずれ同じ症状が出るに違いない。
金57ESは時々ロジックが狂う時があり、黒57ESと同じ操作をしても同じ結果にならない時があるので、金57ESはもうちょっと手が焼けそうな予感。