DENON CD Player DCD-1550AR Report







2004年07月03日

近所のリサイクルショップで、まずまずの値付けで売られていたDENONのCDプレーヤ・DCD-1550AR を入手しました。
かれこれ10年前の製品ですが、DENONご自慢の Alpha Processor (以下A/P)搭載のエントリー機ということで、その性能や如何に!?と試しに購入してみたわけです。
今では標準搭載されているA/Pも、デビュー当時は超高級機にしか搭載されておらず、とても手に入れることができなかったものの1つです。
最新の機種では、A/Pを更に発展させたタイプが採用されていますが、ウチのオーディオは10年遅れがモットーなので、これでいいのだ。


主な仕様:

D/A変換部方式

リアル20ビットラムダS.L.C(ダブルD/Aコンバーター)
デジタルフィルター 20ビット8倍オーバーサンプリング+アナログフィルター
周波数特性 2Hz〜20kHz
SN比 112dB
ダイナミックレンジ 100dB
全高調波歪率 0.0025%
チャンネルセパレーション 105dB
アナログ出力電圧 固定 10kΩ負荷時2V
アナログ出力電圧 可変 10kΩ負荷時0〜2V
アナログ出力端子 固定 RCA1系統
アナログ出力端子 可変 RCA1系統
デジタル出力端子 光1系統、同軸1系統
消費電力 16W
外形寸法 W434×H134×D340(mm)
質量 7.4kg
宣伝文句:

DCD-1550ARは、クラス最強とも言える機構系の配備を行い、DCD-S10IIの設計思想を受け継いだS.V.H(Suppress Vibration Hybrid)構造とALPHAプロセッサーを搭載した普及価格帯CDプレーヤーです。
音質面では、S1シリーズでの採用でその再現力に高い評価を得た前筆のALPHAプロセッサーの搭載など、クラスを超えたデジタルテクノロジーを投入。さらに高いレベルで処理された信号を汚すことなく再現するため、安定した駆動を約束するS.V.H構造センターマウントメカ、高剛性トレーの採用や、シャーシ全体の制振設計をはじめ、ローノイズ化と余裕のパワーを得た電源部や、デジタルアナログ電源分離回路構成による信号の相互干渉の抑制など、信号の入口から出口まで徹底した高音質化をクラスを超えたレベルで実施しています。


ま、定価66000円でそこまで大風呂敷広げて大丈夫なの?という感がなきにしもあらずですが。(笑)
さて、インプレッションの開始です。


憧れだったAlpha Processing。
当時はボーナスを注ぎ込まないと買えないものでした。




現在のDENONのCDプレーヤ標準デザインです。
ほとんどをリモコンで操作するようになっているので、リモコンをなくすと深刻な問題になります。
なお、トレーとフロントパネルとの間に隙間があり、結構風切り音が聞こえます。



早速分解です。
トップカバーを開けると、内部は3分割されており、右側に回路基板、真ん中にメカ、左側に電源回路が配置されています。
更に回路基板は2段重ねとなっており、下段がサーボ(デジタル系)、上段がオーディオ(アナログ系)になっています。


オーディオ系基板です。
左右チャンネルでほぼ対称に設計されています。
オーディオ用コンデンサは、DENONがよく使うSILMICが多用されています。
ちなみに、SILMICの由来はその名の通りシルクで、電解紙の主材料がシルク繊維でできていることから命名されています。
詳細はこちら→http://www.elna.co.jp/ct/c_music2.htm



下段のデジタル基板からノイズを防止するため(?)、シールドがされています。
でも、どの程度の効果があるんだろう?ないよりマシですが・・・。
基板を見て気付いたのですが、一般的に使われている基板より薄いような気がするのは私だけでしょうか?



D/AコンバーターにはバーブラウンのPCM61Pが2個使われています。
このDENONの頑ななまでの方針には敬意を表します・・・・が、電解コンデンサにオーディオ用を多用するぐらいなら、その分のコストをD/Aコンバータの選別品に回して欲しいと思うのですが。



デジタル信号処理の主要チップが見当たらないと思ったら、デジタル系基板の裏面(一番底面に近い側)にまとめて実装されていました。
これはデジタルフィルタです。



ラムダS.L.C. です。
ゼロクロスひずみを原理的になくすコア技術で、DENONがマルチビット方式にこだわることのできる理由の1つです。

あれ? Alpha Processorは?
・・・・って思うでしょうけど、リマークが消されたフラットICがあるだけで、はっきりとどれがどれだか分かりませんでした。
いずれ出直しますです。(スンマセン)



デジタル系基板にある、謎のスイッチです。
ピックアップから来た信号コネクタのすぐ近くにあるのですが、試しに押しても何も変化ナシでした。



デジタル系とアナログ系の基板を結ぶケーブルです。
フラットケーブルですけど、一応シールド付きです。
この辺もコストダウンの影響が見られるため、交換することで音質改善が見込めそうです。



電源部です。
最もコストダウンしやすい箇所です。(笑)
それでも一応SILMICを使っているのは努力の跡はみられます。
空きスペースがいっぱいあるので、電源強化も面白いでしょう。



ピックアップはギア式です。
コストを考えれば当然でしょう。
しかしピックアップのメーカーがシャープなんですけど、今回初めて見ました。



自称インシュレーター、要するにプラスチック足です。
こんなことにコストかけてどうするのかと・・・・。



リアパネルです。
アナログは固定と可変が、デジタルは光と同軸の2系統です。



機種銘板です。
Made in Japan の文字を見るとホッとします。
別に他国製が悪いとは思いませんが、産業空洞化はいずれ国力を落とす原因になるので、今のコスト一辺倒主義は非常に不安です。



何故かウチにはA/PのデモCDがあったりします。
最初の数トラックに収録されている音楽ソースは、ワンポイント収録された好録音で、通常の試聴テストCDとして使ってきたものです。A/P搭載CDプレーヤで聞くのは今回が初めて。(笑)



前半はクラシック音楽、後半はテスト信号が収録されています。
A/Pの宣伝によく使われていた、低レベルサイン波形も収録されています。(-80dBと-90dB)
これぐらい低レベルになると、どのCDプレーヤで再生してもCDの音とは思えないほど濁った歪みの多い音になります。
しかぁし!1550ARでも大して変わらなかったので、A/Pが悪いのか、自分の耳が悪いのか、大層不安になった今日この頃。



試しにオシロスコープで波形を観測してみました。
ご覧の通り、きれいなもんで、宣伝に偽りはなかったようです。
この直後からオシロスコープが不調になり、波形がうまく観測できなくなってしまいました。
校正やメンテをしてない15年選手のオシロスコープなので、寿命なのかもしれません。



リモコンで操作すると、蛍光管左上部に赤いランプが点灯して、ちゃんと受光していることを知らせてくれるのですが、CDを入れた状態で本体の電源を切り、再生ボタンと巻き戻しボタン(って言うのか?)を同時に押した状態で電源を入れると、このようにランプが付きっぱなしになります。
一般には、これはA/Pを強制的にOFFにする隠しモードだと言われていますが、いろいろテストしてみてもよく分かりませんでした。



DCD-1550ARとは直接関係ありませんが、A/Pを搭載した初代機DA-S1のカタログ表紙です。
この時はセパレートタイプのD/Aコンバーターユニットとして発売されました。
さすがにカタログにもコストがかかっていて、保存性もいいです。(笑)
勝手に流用する輩が多いので、わざとシャープネスを落としてます・・・・。
下にある2つのPDFファイルは、A/Pの技術解説ページをスキャンしてPDF化したものです。
本来は見開き2ページですが、画像が大きくなるので左右2分割してあります。


   




2006年11月04日

DCD-1550ARのテストモード(ALPHAプロセッサーのON/OFF方法)を発見しました。
(おそらく同時期に発売された1650ARも同じだと思います)

1, 電源OFFの状態でSTOPボタン[■]と、早送りボタン[>>] を同時に押したまま電源ON。
2, トラックと時間表示の他に、FADEのオレンジ色の矢印(左右)が点灯する。
3, 一度テストモードに入ると、電源をOFFにするまでテストモードを保持するようです。



テストモードの画面表示。
FADEの左右両方の矢印が点灯する。

FADEの右側矢印のON/OFFがALPHAプロセッサのON/OFF状態、左側矢印のON/OFFがBit-ShiftモードのON/OFF状態を表示しています。
この状態で本体あるいはリモコンのDISPLAYボタンを押すと、「 S on A on 」の表示が出ます。SはBit-Shift、AはALPHAプロセッサーの意味だと推察します。(つまりテストモードはALPHAプロセッサーもBit-ShiftモードもONがデフォルト
リモコンのPEAKボタンを押すとALPHAプロセッサーのON/OFFFADERボタンでBit-ShiftのON/OFFが可能です。



ALPHAプロセッサーをOFFにすると、「 A oF」に表示が変わり、FADEの右矢印が消灯します。


注意! Bit-Shiftは通常OFFに設定されており、テストモードの時のみON/OFF可能。
   Bit-ShiftをONにすると音量ゲインが一気に48dB上がるので、誤操作すると
   アンプやスピーカーを破壊するだけでなく、最悪の場合は聴覚にも悪影響を
   及ぼすので、本当に気を付けて操作して下さい。


さて、ALPHAプロセッサーの効果を知るために、何度もON/OFFしてみたのですが、私の耳ではほとんど区別できませんでした。通常の音量では大差ないような気がします。
そこで、前掲のALPHAプロセッサーデモ用CDを使って、その違いを聞き比べてみたのですが・・・・・ON/OFFで音が変わるのは確かなのですが、ALPHAプロセッサーが全てに効果的とは思えないんですね。
ソースがサイン波(-90dB)の場合、ALPHAプロセッサーをONにすることでノイズが減るのは確かなのですが、楽音の場合はむしろ耳障りなジュルジュル音が気になって、OFFにした方がまだマシです。
以下にサンプルをUPしますので、ご自身で確認してみて下さい。(アイコンをクリックすると再生します)
デモCDに収録されていた超低レベル録音をBit-ShiftモードONにしてゲインを上げて再生しています(そうしないと聞き取れないぐらいの低レベル録音なので)。


ALPHAプロセッサーON



ALPHAプロセッサーOFF