Nakamichi Cassette Deck CR-70 Report







2004年08月15日

過去のカセットテープを少しでも良い状態でメディアコンバートするため、再生アジマス調整機能付きのカセットデッキCR-70を入手しました。
今年2月にメーカーサービスを完了しており(O/H済み、ヘッド・ゴム部品交換済み)、性能は期待できそうです。
詳しい情報は、下記ページをご覧になるのが一番早いと思います。
過去の名機を紹介している、非常に有名な代表的オーディオサイトです。

 オーディオ懐古録
  http://k-nisi.hp.infoseek.co.jp/cr-70.htm

まともにやり合ってはオーディオ懐古録に勝てませんので(笑)、果たしてアジマス調整機能は効果があるのか、定価22万円の価値はあるのか、中身はどうなっているのか、そういった裏側の情報を取り上げてみることにしました。(意外とCR-70の情報って少ないんですよね)


主な仕様:
ヘッド 3(消去×1,録音×1,再生×1)
総合SN比 ドルビーCタイプNR ON 72dB以上(70μs,ZXテープ) 
  (400Hz,3%HD,IHF A-WTD RMS) 
ドルビーBタイプNR ON 66dB以上(70μs,ZXテープ) 
  (400Hz,3%HD,IHF A-WTD RMS) 
ワウ・フラッター 0.024%以下 WTD RMS,±0.045%以下 WTD PEAK
周波数特性 20Hz〜20,000Hz±2dB(録音レベル-20dB ZX,SX,EXIIテープ) 
18Hz〜21,000Hz±3dB(録音レベル-20dB ZX,SX,EXIIテープ) 
総合歪率 0.8%以下(400Hz,0dB,ZXテープ) 
1.0%以下(400Hz,0dB,SX,EXIIテープ)
消去率 60dB以上(100Hz,+10dB)
チャンネルセパレーション 37dB以上(1kHz,0dB)
クロストーク 60dB以上(1kHz,0dB)
早巻き時間 約80秒(C-60)
大きさ 435(W)×135(H)×306(D) mm
重さ 約9.0kg
電源 100V AC50/60Hz
消費電力 最大43W



ナカミチ独自の独立3ヘッドを謳っています。
この出っ張りにホコリが積もって掃除が面倒です。(^^;
色はブラックですが、光の具合で赤っぽく写ってます。




フロントパネル、テープ操作部です。
LEDが付いていますが、スイッチの形状がどれも同じなので、誤操作しやすいです。
カウンターモードは、ナカミチでは初めて分秒表示可能になりました。




各種切り替えスイッチ部分です。
マニュアルモードにすれば、テープタイプとイコライザを手動で切り替え可能です。
あまり意味のない機能ですが、ナカミチ伝統です。





CR-70のウリの1つが、この再生アジマス調整機能。
このツマミを回すと、メカ部のモーターが回り、ギアを経由してヘッド角度を変化させます。




アジマス調整ツマミを回すと、レベル表示が自動的にアジマス調整モードに切り替わり、アジマス角度に合わせて左右にメーターが振れます。
赤の逆三角形がセンターを意味します。




CR-70もう1つの特徴が、このオートキャリブレーション。
手動による調整で性能を追い込むのが従来のナカミチ路線でしたが、本器では完全自動化を採用しました。
約15秒でテープチューニング(アジマス・感度・バイアス)を終えて録音スタンバイになります。





オートキャリブレーション時には蛍光管に現在の調整項目が表示されます。
長時間露光して撮影しているので、アジマス・レベル・バイアスが全て点灯していますが、実際には1つずつ点灯します。





これが通常再生モードです。
ロングスケールのレベル表示で見やすいです。
カタログでは黄緑色ですが、実際は限りなく黄色です。




テープホルダー部です。
CR-70の特長が全て書き連ねてあります。(笑)




CR-70の中枢とも言えるヘッドユニットです。
完全独立3ヘッドの様子がよく分かります。
再生ヘッドが他のヘッドに比べて目立ちます。




ヘッドユニットの下部にあるギア群です。
これもナカミチデッキの特徴です。
右下のギアが再生ヘッドのアジマス調整ギアです。




内部です。
コントロール系のワイヤリングが非常に多いです。
基板中央に見えるボタン型電池は、オートキャリブレーションの設定をメモリするためのバックアップ電池です。
ノーマル・ハイポジ・メタルの3タイプの設定をメモリできます。




電源部です。
トランスは結構大きなものを使用していますが、電源回路そのものは簡素で、オーディオ用パーツは皆無です。




基板は3層構造で、一番上がコントロール系、2枚目がドルビー回路、一番下がオーディオ回路だったと思います。
配線の引き回しが目立ちます。




カセット駆動ユニット背面です。
かなり密度が高く、分解して元に戻せる自信はありません。




モード切替部です。ロータリーエンコーダーではなく、オルゴールのようにスイッチを押し上げてモードを切り替えてます。
接点の掃除はしやすい反面、むき出しなので劣化も早いような・・・・。定価22万円とは思えない構造です。





いくつか見かけたNakamichi ロゴ付きICです。
オートキャリブレーション用マイクロプロセッサでしょうか。




背面です。
(〒)Nakamichi.Fの"F"は、福島工場の意味でしょうか?
消費電力43Wとやや大食いです。
正式な商品名は「ディスクリートヘッドカセットデッキ・CR-70」なんですね。
このこだわり方がナカミチらしい・・・。




外部リモート端子です。
アジマス端子については、取扱説明書に何ら説明がありません。
おそらく外部リモートでも再生アジマスの調整ができるよう用意されていたのだと推察しますが・・・。




別に深い意味はありません。
8888のぞろ目だったので記念撮影。(笑)




22万円のデッキの足。 ;¬_¬)何これ?
1個100円もしない安物の足です。
大手メーカーが大型インシュレーターを当たり前のように取り付けていたのに対し、投資効果に見合わない部分には見向きもしないナカミチらしいところです。
確かにアジマス調整機能の前では、インシュレータやシャーシの銅メッキなんて足元にも及ばない付加価値でしょう。
しかし、もう少し価格相応にできないものか・・・。




CR-70で唯一(?)見かけにこだわりが見られるサイドパネル。
私に言わせれば、これこそ無駄だと思うんですが。
それよりホコリの溜まりやすいフロントパネル構造を何とかして欲しいものです。



CR-70専用リモコン・RM-7Cです。
実にシンプルなリモコンですが、リモコンからアジマス調整が可能です。






対決! XK-009 vs CR-70

我が家のフラッグシップカセットデッキ・EXCELIAのXK-009(定価99800円、消費税導入後は89900円)は、その価格からは想像のできない音質と、アイワのカセットデッキテクノロジーが凝縮されたマシンとしても有名です。
特に走行系と信号伝達系には注力して設計されているのですが、CR-70の最大のウリであるアジマス調整機構が、XK-009よりどれぐらい優れているのか、実際に測定比較してみました。



CR-70の外観は、DRAGONに通じるいかにもナカミチらしい無骨なデザインです。
対するXK-009は、アイワにしては珍しく(?)スマートなデザインで、今でも十分通用するものです。


以下はサイン波を録音し、位相差を測定したものです。
サイン波は日本オーディオ協会のテストCDを、再生にはサンスイのCDプレーヤ・CD-α617DRを使用しました。
カセットデッキのドルビーNRはOFFです。
テープはAXIAのPS-Metal(最終ロット品)を使用しています。

EXCELIA XK-009 (上から1kHz/5kHz/20kHz) Nakamichi CR-70 (上から1kHz/5kHz/20kHz)

測定結果を見ての通り、CR-70の位相特性は初期の頃のCDプレーヤーより位相差が少ないことが分かる。
1kHzの場合、限りなく1本線に近い状態で、ソースの左右位相特性かと一瞬勘違いしたほど。
さすがに20kHとなると偏差が出てくるが、その範囲は狭く、斜め45度を維持しているのはさすがというべきか。
対するXK-009は、10万円未満価格帯のデッキとは思えない位相性能を持っているが、CR-70の再生アジマス調整機能の前ではさすがに見劣りする。恐るべし、ナカミチ!

実際、CR-70の再生音を聴いてみると、ヒスノイズさえ聞こえなければソースとほとんど区別が付かない!!
回路基板やデッキの構造そのものは、大手メーカー製デッキと大差ないように見えますが、カセットメカ精度とアジマス調整機能の威力で、カセットテープの限界性能を引き出しています。
今ならDATやCD-Rの方が安くて音質も良いですが、1985年当時にこれだけの性能を叩き出すカセットデッキが存在していたことは驚きに値します。こんなカセットデッキを、学生の頃に使いたかった・・・・・。(T_T)