Denken AC Power Supply DA-7030 Report







2004年09月04日

同じ職場で働く某氏がご自宅をリフォーム中で、作業期間中は使わないので「お試し」にオーディオ用電源ユニット・電研社製DA-7030を拝借することになった。
残念ながら電研は倒産(?)閉鎖(?)してしまい、現在は入手困難な製品になってしまった。
同類の電源ユニットでは、信濃電気やCSEやアキュフェーズも有名だが、超高額だったり効果が少なかったりと評判は今一つの中で、電研の電源は"高価で効果"ということで一定の評価を受けているようだ。
製品ラインナップは容量別に3種類あり、
 DA-7030 (300VA) \238,000
 DA-7080 (800VA) \430,000
 DA-7100 (1000VA) \520,000
となっている。
今回試用するのは、一番容量の小さいDA-7030だが、巨大モノアンプを2台並列で使うワケじゃないので、300VAあれば容量は十分だろう。

さて、オーディオ機器の電源を、コンセントから直接ではなく、わざわざ高価な電源ユニットを通して使う理由だが、実はコンセントの電気はかなり電圧が変動しており、また接続されている幾多の電気製品からノイズが出て汚れている。
そこで電圧と波形を再生成し、ノイズを除去して正確でクリーンな電源を作り出すのが電源ユニットで、その副次的効果で音質も改善される・・・という仕組み。
どの世界にも眉唾物があり、オーディオの世界は特にその傾向が強いと思うのだが、この電源ユニットに関しては理論的にも(改善かどうかは別として)音質変化を生じることが十分考えられる。
事実、15年ほど前に信濃電気製の100万円クラスの電源を試聴したことがあったが、この時はその音の違いがはっきり分かり、電源が与える音質への影響力を実体験している。今回、果たしてどの程度の効果があるか非常に興味深い。(ただし信濃電気の電源を試聴したときは、システムも軽く100万円を超えるものだったので、ウチのシステムと比較するのはやや無理があるかもしれない。(^^;;; )



ユニットは至ってシンプル。
電源スイッチとインジケータのみ。




フロントのロゴです。
これにツッコミを入れるのも何ですが、「Main device is ....」という表記は珍しい。
日本人の能書き好きの一例か。




インジケーターです。
通常は一番上の緑だけが点灯します。
下の2つはまだ経験がないのですが、消費電力が越えると黄色のLEDが点灯し、回路に異常が発生すると赤のLEDが点灯するのでしょう。
願わくば黄色と赤の点灯を見ることなく返却したいものです。(笑)




トップビュー(フロント側)です。
非常に整然とした回路構成で美しいです。(^^)





トップビュー(リアパネル側)です。
かなり大きな放熱フィンが使われていますが、実際かなりの熱が放出されます。設置の際は空気の流れに気を付ける必要があります。
また、放熱が多いだけに、自然対流によるホコリの侵入も多く、内部には結構ホコリが溜まっています。




本体に入った電気は、まずTOKIN製のノイズフィルタを通ります。
しっかりシールドされており、ノイズの漏れは皆無でしょう。




次にレギュレータを通ります。
ご覧の通り、端子がかなり酸化(硫化?)しています。
しかも電源ラインのコネクタは基本的にネジ止めしているのに、この部分だけカシメです。
簡単には抜けませんが、接触面積は狭いですし、接点も劣化するので、ちょっと不思議な仕様です。





平滑コンデンサ群です。
820μが8個です。
耐熱が105度のものを使用しているのはさすがです。




途中の回路は省略します。
中段にTOKIN製のSIトランジスタを通ります。
フロントパネルに記載されているStatic Induction Transistorがこれでしょう。
SIトランジスタは静電誘導トランジスタの事で、不飽和の電圧電流特性をもつため、大出力、低ひずみ、低雑音、負温度特性などの物特をもつことで近年注目を浴びました。
残念ながらTM101-Mの仕様が全く分かりません(現在製造販売終了)。





ここから終段です。
内部で再生成された電力のノイズを減らし、純度を上げる部分かと思われます。
まずはトロイダル6個セット。




TDKのノイズフィルタも通ります。
何度も何度も特性の異なったフィルタを通し、ノイズを極限まで減らすのでしょう。




出力保護用リレーです。
電力用ということもあって、ネジ止めです。
電子回路用とは作りが違います。(^^;




電源出力基板です。この基板の向こう側にコンセントがあるわけですが、これまで太い配線を使ってきて、最後の最後はこんな基板で分配するんですね。ちょっと拍子抜け。
真ん中を通る緑の配線はアースです。




本体電源スイッチです。
かなりしっかりしたスイッチです。




背面の電源出力部分です。
4系統300VAmaxです。
私は問題ありませんでしたが、ホスピタルグレードのプラグを使う人には、やや窮屈な仕様です。
どうせスペースは余ってるので、もうちょっと離した方が使い勝手はいいでしょう。




銘板部分です。
シリアル番号から察するに1001台目?
なお、DA-7030の出力は60Hzです。
つまり関東の人がコレを使うと、電源周波数も変わってしまいます。
よって、関東では厳密な比較試聴ができない(電源周波数が変わるだけでも音が変わる)ことになります。




本体の電源はACインレット方式です。
この電源コードを変えることで、音の違いが生まれそうです。
さすがにそこまでの違いは区別できないので、私は製品付属のACケーブルを使っていますが、電源コードを使い分けている人もいるようです。




DA-7030は非常に丁寧な塗装が施され、さすがに指先で外筐をはじけば響くものの、トップカバーには2本のL型ビームが通り、最近の安物オーディオ機器とは比べ物にならないほどしっかり作ってあります。





試聴レポート

電源ユニットを使った場合と使わなかった場合、明らかに音質の差異が認められる
一番目立ったのは、打楽器(特にジャズのシンバル)の音の立ち上がりがシャープになり、これまでバックで聞こえていた音がかなり前に出てくるようになったこと。
パルシブな音が鮮明に表現されるようになった、と言えば分かりやすいかもしれない。
これは電源に余裕ができて、瞬間的な電流・電圧変化に追従できるようになったからではないか?
次に、弦楽器(特にバイオリン)のヒステリックな響きが消え、マイルドになった。
高調波の歪みが減ったから(?)なのかどうかは分からない。
しかしこれは改善なのかどうか・・・・というのも、ヒステリックな成分は実際の楽器でも発生しているもので、それが消えてなくなったというのは、音質の"変化"ではあるが"改善"とは一概に言えないからだ。

何度か比較試聴して、100%区別できたのは上記の2点。それ以外で確実なことは言えない。
「ン十万円の機材で変化はこれだけ!?」と思うかもしれないが、これには理由がいくつか考えられる。
まず第一に、自宅はかなり田舎に立地し、電源ノイズが都心に比べて遙かに少ない。
元々電源が汚れてないので、電源ユニットを使っても改善効果が出にくいのではないか?
次に、自宅建築時にアースを考慮して建てており、一般的な環境よりアーシングがしっかりしている。
最後に、オール電化のため引き込み段階で10kVA、屋内配線に50Aとかなり余裕がある。
しかも分電盤でオーディオ用コンセントとエアコンや電子レンジといった"大物"が分離されており、ノイズの影響が少ない。
これらの理由から、電源ユニットなしでもそれほど電源の影響を受けないため、今回のような結果になったものと思われる。
言い換えれば、住宅密集地や商工業地域に住んでいる場合は、その効果がはっきり出ることが想像できる。
引っ越すことを思えば、電源ユニットの1台ぐらい安い買い物ではなかろうか?(笑)
10年(3650日)使ったと考えれば、1日当たり65円だし・・・・。(^^;