SONY CD Player CDP-750 Digital Output Modification Report



2009年6月14日

最近のCDやSACDプレーヤーの基本性能は、CD黎明期とは比較にならないほど性能が向上していますが、1つだけ確実に退化した機能があります。それは何か?


例えば、写真のようなCDを再生すると仮定します。
最初から通して聴くなら何ら不都合はありませんが、楽章途中から再生しようと思うと、トラック信号は2つしか打ち込まれていないため、早送りボタンを延々と押し続ける必要があります。

何故なら本体側にもリモコン側にもINDEXサーチが付いていないから・・・・・。



尤も、最近はCDをPCに取り込んでしまう人がほとんどであり、またINDEXの打ち込まれたCD自体減っているので、大多数の人は困らないのが実態でしょう。
よってメーカーも当然のことながらコストダウンできる要素は片っ端から省いてしまうわけで、CD黎明期に存在したタイムサーチやINDEXサーチを使いたい場合は、わざわざ古い機種を入手する羽目に陥るわけです。

ちなみに、本体や付属のリモコンにINDEXサーチが付いていなくても、その機能を表に出していないだけで、実は隠し機能として使うことができる場合があります。
よくあるのは、同一メーカー製の他機種や上位機種の多機能リモコンを使って操作すると、本来存在しない機能が使えるようになるのがその好例です。
これは、同一メーカーの同一カテゴリの製品が共通のリモコンコマンド及びリモコンICを使っていることを逆手に取った技なのですが、今メインに使っているソニー製SACDプレーヤーはリモコンコマンドを変えたらしく、普通のCDプレーヤー用リモコンから操作を受け付けてくれません(正確に書くと、リモコンには反応しますが、期待通りに動作しません)。(ー_ー; おのれ、ソニーめ...

ということで、当初の「INDEXサーチ機能が欲しいなぁ」から、「こうなったら何が何でもINDEXサーチ機能を使うのだ!!」とエスカレートした SPDIF増設顛末記です。(笑)




某月某日、近所のハードオフへ。
取り敢えずINDEXサーチ付きのCDプレーヤーを探すと、いかにもチープな作りながら、今では貴重なINDEXサーチとミュージックカレンダーを備えたソニー製CDP-750を発見。
「再生しました 1050円」と手頃な値段なので、棚からヒョイと抜き取って(実際、片手で持てるほど軽い)そのままレジへ直行、この時しっかりチェックしなかったことが痛恨事となる。

家に着いて、早速動作テスト。
イジェクトボタンを押してもトレイがなかなか出てこないのは、おそらくベルトの伸びかスリップが原因であろう。
再生は音飛びもなく、サーチも問題なく動くので、ヒートランがてらしばらく放置していたら・・・・・。


   蛍光管表示全てが消えた!!( ̄□ ̄;


PCのスクリーンセーバーのように、一定時間操作しないと省エネのため表示が消えるのか???という考えが頭をよぎったが、どんな操作をしても表示が復帰しないのだから、明らかに故障である。
尤も、表示は消えても再生は問題なく行われているので、「再生しました 1050円」の札はウソではないのである。この辺はさすがハードオフである。(笑)

筐体を軽く叩くと表示がパッと点灯し、またしばらくすると消えるので、どこかで接触不良が起こっているのであろう。ま、古いCDプレーヤーなので仕方あるまい。
 ┓(´_`)┏ やれやれ・・・・ と思いつつ、次にデジタル出力のチェックをしようと背面パネルを見ると・・・・・。


 「 ぁ゛・・・・・ぁぅぁぇぁ??!! デジタル出力端子がない!!」 orz


今では当たり前のデジタル出力端子も、この当時のローコスト機には装備されていなかったことをすっかり失念していた。
いくら誉れ高きフィリップス製DAC TDA1541を積んでいるとはいえ、所詮はローコストCDプレーヤー。アナログ出力の音は軽くて薄っぺらい、例えるなら希釈しすぎたカルピスを飲んでるような、とても聴くに耐えない代物である。
そもそもCDP-750は、INDEXサーチ機能付きトランスポーターとして使い、音楽再生は外付けDACにデジタル出力するつもりだったのだから、このままではCDプレーヤーを入手した意味がなくなってしまう。

「しかたない ( ´o`) デジタル出力端子を増設するかぁ・・・・・。」

今は亡きINDEXサーチを実現するためには、苦労を厭わない精神が必須なのだ。




このINDEX機能といい、20曲目までダイレクト選曲できるミュージックカレンダーといい、この当時のソニーのCDプレーヤーは実に使い勝手に優れていました。
昔の方がCDのメリットを生かした機能を装備していたとは、実に皮肉な話です。




CDP-750 の内部写真です。
プラスチックで構成されたメカと、全ての回路が収められている基板が1枚の、典型的普及機です。
筐体も全てプラスチック構造です。




基板を見ると、CDP-750以外にCDP-207ESDやCDP-68(?)にも兼用されていた事が分かります。
207ESは日本国内未発売なので、おそらく海外モデルでしょう。




基板背面側を見ると、J401は明らかにTOSLINK(光デジタル出力)用のコネクタスペースです。
つまり、回路と基板そのものは光デジタル出力が可能であり、CDP-750は普及機の位置付けのため、デジタル出力が省かれていることが想像できます。
つまり、光デジタル出力改造が可能であるという、1つの指標になります。




では参考までに、この当時のソニーのCDプレーヤーの回路構成を解説してみます。
上位機種は電源やパーツにコストがかけられていますが、主要ICはほぼ共通です。

CXA1081はRF Ampやエラーアンプ・APC回路を内蔵したICです。この当時のソニーのCDプレーヤーは大抵CXA1081を使っていました。





CXA1182はServo系を司るICです。
このCXA1182にはVCO・フォーカスサーボ・トラッキングサーボ・スレッドサーボ・スピンドルLPFが内蔵されています。
サーボ用ICにはCXA1082やCXA1272というものもありました。




基板裏面にはCXD1088とCXD1125があります。
CXD1088:4fs, 83rd + 21st order filters
デジタルフィルタ用ICです。
2種類のフィルタ特性を選択して組み合わせることができるのが特徴です。その他にCXD1144やCXD1162というICもありました。
CXD1125:Digital Signal Processor(DSP)
この当時の定番中の定番ICです。データ復調・RAM制御・エラー訂正・CLVサーボを内蔵し、CXD1135・CXD1242・CXD1245同様デジタル出力端子を備えています。一方、同じDSPシリーズでもCXD1130やCXD1241にはデジタル出力がありませんでした。

このCXD1125のデータシートは今だに需要が結構あるようなので、ここにUPしておきます。



DACのTDA1541です。
TDA1541にはいくつかランクがありますが、いわゆる無印タイプが使われています。
この頃のソニーは、TDA1541を幅広く採用していました。




TDA1541 の後段(アナログ音声回路)に、唯一と言ってよい音響専用パーツ(MUSEとDUOREX)が使われています。
ここだけコストをかけて意味あるんでしょうか?(笑)





電源トランスです。
通電中の振動が結構大きいため、束線バンドを使って締めてみました。
ちなみに電源平滑用コンデンサはELNAのふつーのヤツで、音響用コンデンサは皆無です。




プロントパネルはネジ3個を抜くだけで簡単に外れます。
パネルを外すと、CDトレイの下にゴムベルトが見えます。
このベルトがスリップすると、トレイの出し入れやチャッキングの動作に支障が出て、何もできなくなります。
ゴムベルトは消耗品なので交換がベストですが、適当なサイズのベルトがなかったので、脱脂及び紙ヤスリで軽く磨いて応急処置です。




おそらくソニーもこのベルトの劣化障害を見越していたんでしょう。
底面に穴があり、そこにプラスドライバを入れて回すと、チャッキングやトレイの出し入れが手動操作できるようになっています。(CDP-750の場合は右穴は未使用)




蛍光管表示が消える原因は、電源スイッチの接触不良でした。806というラベルが貼ってあるスイッチを分解清掃し、組み直したら現象は再現しなくなりました。
なお、電源スイッチの中にはバネが入っているので、分解・組み立て時にはバネを飛ばさないよう注意が必要です。

電源スイッチ右隣(IC102)はリモコン受光部です。




分解ついでに、蛍光管表示も掃除します。
静電気によって汚れを吸い寄せてしまうため、中古機器は必ず蛍光管表示を拭きましょう。
掃除すると表示の明るさが蘇り、とても見やすくなります。




さて、いよいよSPDIF(デジタル)出力増設改造です。
デジタル信号はCXD1125の27ピンから出ています。
しかしICの足から直接配線を引き出すのは非常に困難なため、パターンを追いかけて適当なところから信号を取り出します。
私は写真のポイントから配線しました。




CXD1125の場合、デジタル信号出力のON/OFFはMode Selectにてコントロールしています。
ざっと調べた限り、
Mode Select
 55pin(MD1):L
 56pin(MD2):L
 57pin(MD3):H
である必要があるらしく、CDP-750の場合は標準では56ピンがHなので、Lに落とす必要があります。
そのためのパターン改造が左の写真です。
パターンカット1ヶ所、ジャンパー1ヶ所です。




TOSLINK・TOTX179です。
最近、ちょっと入手困難になってきました。
3.3Vタイプと5Vタイプがあるので、間違えないように購入して下さい。今回は5Vタイプを使います。
電源端子とグランド端子との間には必ずパスコンを付けます。TOSLINK仕様書によると、7mm以内推奨です。
配線直付けでもよかったのですが、コネクタを抜き差しする部分なので、敢えて基板に配線しました。




CDP-750の背面出力端子です。
シンクロという、ソニーのコンポと連携させるための独自端子が付いています。
シンクロ端子は未来永劫使いませんので、ここを潰して光端子を付けることにしました。
偶然なのかどうか、シンクロ端子とSPDIF端子の横幅は全く同じであり、高さも数ミリ差なので、リアパネルの加工が楽というメリットもあります。
※丸い穴はドリルで一発ですが、TOSLINKのように四角い穴を新たに開けるのは仕上げが面倒です。




本体基板の角はシンクロ端子のための回路なので、J-ONLYとマーキングされた部分の部品を取り払い、TOSLINKと接触しない程度に削り落とします。
基板の構造上、切り落とそうとすると思わず範囲まで欠けてしまいます。地道に削ることをお勧めします・・・・。

CXD1125からのデジタル端子、基板の任意の箇所から電源とグランド、計3本をTOSLINKと配線します。




配線完了後の端子の様子です。
やっと光デジタル端子付きCDプレーヤーになりました。





早速音出しです。
光デジタル出力を外付けDACにつないで再生すると、オリジナル(ライン出力)のCDP-750とは別次元です。
何より情報量が全く違います。低音はしっかり密度があり、高域はすっと伸びて無理がありません。
待望のINDEXも使えるようになり、これで早送り長押しから解放です。やれやれ!