SONY TA-F555ESJ レポート

暫定公開





先日333ESRのオーバーホールをやったばかりなのに、今度は某オークションで555ESJを入手してしまいました。(^^;
落札価格は、新製品でも結構高級な機種が買える価格です。(汗)
しかし、キズもほとんどなく、内部の劣化が極めて少ないのが不幸中の幸い(?)でした。
333ESRは1989年製で、今回の555ESJは1993年製です。
今だに10年前の機種を高値で購入するなんて、変な世の中になったものです。
バブル経済とオーディオブームの"遺産"ですかね。



ちょうどいい機会なので、TA-FxxxESシリーズの変遷を簡単にまとめてみましょう。
333系も555系も、アンプもカセットデッキも、末尾の型番がESX→ESR→ESG→ESL→ESA→ESJと変遷してます。

●パネルデザイン
アンプの場合、全てのスイッチ・ノブがむき出しだったESX・ESX II ・ESRがESGで大きく変わり、ESGの評判が良くなかったらしく次のESLでボリュームとラインセレクタ以外をポケットに押し込み、カバーで覆ってしまいました。
一見すると一昔前のAVアンプのように外観はすっきりしたものの、ポケット内は窮屈でツマミの操作がやりにくくなりました。
尤も、私の場合は普段Source Directで使うから、ツマミを操作することはほとんどないんですが・・・・。
ESLのデザインは、3桁ESシリーズ最後のESJまで踏襲されました。ESLが出る頃はバブルもはじけて、コストのかかる外筐変更をやりたくなかったんじゃないですかね。

●技術
バブルがはじけたことと、CDやMDの普及でポータブルタイプが主流となり、普通は新しいほど進化するものなのに、555ESLでシリーズ初のMOS-FETが採用されたこと以外、エポックメーキングな変化はありません。
むしろ、コストダウンの方が改善より急激で面白みに欠けます。
1989年に定価79800円の333ESRと、1993年に定価150000円(?)だった555ESJの特長を比較すると、主な相違点は
 1,MOS-FET DRIVE&POWER STAGE
 2,ジブラルタルルーフ採用
 3,便利なワイヤレスリモコン(笑)
だけです。

ソニーのアンプって、結局最大の特徴として挙げられるのは、ジブラルタルシャーシってことになるんでしょうか。
ジブラルタルシャーシは、スペインの最南端の小半島で自然の要塞と呼ばれる「ジブラルタル」の岩にちなんで、堅く重い岩のようなシャーシということで名付けられたと当時のカタログに説明されてます。
大理石の主成分である炭酸カルシウムを不飽和ポリエステルに加え、グラスファイバーで強化した素材を一体成形したもので、一般的に使われる鉄板シャーシに比べ格段に優れた剛性を誇りました。
非磁性体・非金属であるため、磁気的な歪みも発生せず、熱にも極めて強いため、温度変化による経時変化もほとんどないという優れたベースシャーシでした。
とにかくベースが重い上に、トランスも重く、運ぶ時はかなり気合いを入れて取り掛かる必要があります。
重量といえば、ESRとESJでは100グラムだけESJの方が重いです。
しかし、ESJには天板に重し代わりのジブラルタルルーフが採用されているため、その分を差し引くと、ESRの方が中身は重いことになります。

何だか、書いててESJを手に入れたことを後悔してきちゃったぞ。(苦笑)



ま、折角なので、内部クリーニングを兼ねて分解してみました。15万円の実力や如何に!?です。
まずはフロントパネル(面構え)からです。


555ESJ正面写真
分解途中なので、サイドウッドなし。

ESRから随分変わりました。どちらがいいかは、一概に言えません。
ESRの方がツマミやスイッチの状態がすぐ分かると思う人もいれば、ESJのようにライン入力と音量さえ分かれば十分と考える人もいるでしょう。
ESRの機能をESJに求めると、かなり厄介です。というのも、ESJのポケット内は結構窮屈で、ツマミやノブも小さいため、操作しにくいのは確かです。


●天板部分



写真は、ジブラルタルルーフを取り外したところです。
シャーシと同じ素材から作られた、天板の重しです。
確かに天板までジブラルタルシャーシでできませんから、重しを乗せて制震するということでしょうか。
尤も、ジブラルタルルーフのおかげで、天板部分にほこりがたまりやすく、掃除がしにくいです。


●内部

内部は従来からあまり変化はないです。



相変わらず金属シャーシ部分は錆びてます。
パーツは音響製品用のものが多く使われ、電源コンデンサは15000μFという大容量のものが使われてます。
10年前の機種にしては、状態は良好です。ホコリの除去だけで済みそうです。
ショックだったのは、ヒートシンク。333ESRはヒートシンクを指先で弾いても響かない上に、ゴムバンドで固定されていたのに、その上位機種で後継機種の555ESJは、何と指先で弾くと「キーン!」と鳴きます。もちろんゴムバンドもなし。嗚呼、コストダウンかな。

ご多分に漏れず、ビスが結構ゆるんできてます。基板・シャーシ・部品、あらゆる箇所のビスを締め直します。
特に電源トランスを固定するビス4本は、長年の振動でゆるんでます。
高価なアンプですから、ロックタイトでビスを固定するぐらいの工夫はできなかったものでしょうか。



ボリュームツマミに内蔵されているLEDは、こんな配線で本体と接続されてます。頻繁に回転させるボリュームノブと基板の間を、こんな配線で大丈夫なんですかね?
どこかで、このLED配線が原因で、ボリュームツマミをある箇所まで回すと、配線が引っ張られてショートし、保護回路が働く、という記事を見たことありますが。
心配なので、配線の引き回し方法の変更と、ショート防止を兼ねて絶縁クッションを金属パネルに当たる部分に入れておこう。

元オーナーは、555ESJをラックに入れたまま全く移動させなかったとのことで、確かにキズもなく、ホコリも思ったより少ないけど、どうやらタバコを吸うらしく、全体的にヤニ(?)が付着してました。
細かな部分までクリーニングできないので、結局フロントパネルは完全分解。
ついでに可変抵抗・スイッチ部分は接点復活剤をかけておきましょう。


仮面(?)を外すと何とも格好悪い


●底面


この構造も初代から変わらず。
一番発熱する部品がアンプの一番底面にあるから、熱は自然対流で上に流れ、合理的かつスマートな方法で放熱できます。



でもねぇ、この半田付けはひどいですね。
ショート寸前ですよ、これ。
リード線も余計だし、これは全部切り取って半田付けやり直し。


●謎のゴム


強力なエアガンで内部のホコリを掃除してたら、こんな部品が飛び出してきました。
いかにも千切れて出てきた感じですが、出所不明です。
まぁ、動作に直接影響はしないと思うので、取り出して保存しておきましょうか。
寸法から察するに、コンデンサか可変抵抗のダンプ材のようですが・・・・。




●最後に

内部クリーニングを終えて、試聴してみました。
前代333ESRと比べると、明らかにパワーが違います。
333ESRも決して悪いとは思いませんが、「高速道路上におけるエンジンパワーの余裕差」とでも形容すればいいでしょうか。333ESRが2000ccで、555ESJは3000ccクラスです。同じ音量でも、555ESJは余裕を感じます。
また、MOS-FETの効果なのか、高域がきらびやかです。最初、ちょっと耳につきましたが。
それにしても、1993年当時に、これに15万円を投資するのはちょっと無駄だった気がしますね。
金額の割に差がない・・・・というか、基本的な部分の完成度が高かったため、それ以上の付加価値が出にくかったように思います。
ただ、総合力ではもちろん555ESJが上なので、今後は555ESJにがんばってもらうこととし、333ESRは里子に出すつもりです。

今後の計画では、ボリューム・スピーカーリレー・入力セレクタの接点クリーニングを予定してます。
また、LEDの色を変えるなど、改造も考えています。

 -- To be continued --