dbx Model 224 (Type II)
PPA-1(Type II and B)


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R1.2
dbx Model 224
型番:Model 224 定価:不明 発売:1982年(?)

● DBXの概要

DBX方式は、アメリカ・dbx社が開発・製造しているノイズリダクション方式で、最も普及した方式の1つです。
原理自体は非常にシンプルで、録音時に1/2圧縮、再生時に2倍伸張するものです。
理論上ダイナミックレンジが2倍になり、また単純圧縮伸張を行なうだけなのでキャリブレーションやレベル調整が不要といったメリットがあります。
その一方で、ブリージング現象が音楽ソースによっては非常に目立ち、ピアノ曲では常にバックでノイズレベルが変動し、はっきりと聴取されます。
このブリージング現象を如何にして抑えるかがノイズリダクションの肝で、他メーカーから続々と発売されたノイズリダクション方式も、必ず何らかのブリージング現象対策を行っていました。


DBX Type I
単純2:1:2伸張方式で、ノイズリダクション方式としては最も歴史ある方式の1つです。
元々業務用として使われ、世界レベルでの実績があります。
しかしType Iの効果を完全に発揮するためには、38cm/s以上のアナログレコーダーか、16bit/40kHzサンプリング以上のデジタルレコーダーをdbx社は推奨しています。
単純な方式ながら、Type I はレコーディングシステムへの要求レベルが高く、推奨レベル以下の機器で使う場合には、かなり注意が必要です。

DBX Type II
周波数特性(帯域)に劣るカセットテープや8トラックレコーダー用に、Type Iを改良したのがType IIです。
ドルビーAタイプとBタイプの関係に似ています。
帯域劣化・位相変化・ドロップアウトなど、Type Iでは各種問題が起きる場合でも、Type IIではプリエンファシスを強めにかけ、RMS検波を行い、トラッキングエラーにも強くなり、安定して使えるようになっています。
そのため、フラットな特性を持つ機器(ハイエンドオープンデッキやデジタルオーディオ機器)で使用すると歪みや特性劣化を招き、逆に音質を低下させるので使用すべきではありません。
一般にカセットデッキに内蔵されているものは全てType IIで、単体ユニットとして出回っているDBXユニットもType IIが大半です。

補足情報
1, dbx社では、ノイズリダクション方式を指す場合は大文字のDBXを、社名を表す場合は小文字のdbxを使い分けているようです。
2, dbx社では、DBXノイズリダクションを2003年に製造を中止(完了)したようです。




フロント左半分には、大きくdbxのロゴとシリーズ名・型番が表記されています。
黒地に金文字なのでゴージャスな雰囲気です。
この224シリーズにはいくつかのバリエーションがあり、通常売られていたのは黒地に白文字タイプです。
この金文字タイプは海外でよく見かけるので、あるいは初期段階だけ海外モデルを日本向けに販売したのかもしれません。
いずれにせよノイズリダクションユニットらしからぬ雰囲気を醸し出しています。


カセットテープデッキ用なので、DBX Type II 方式です。
Simultaneousの表記通り、回路は4チャンネル構成で、録再同時モニター可能です。


全帯域リニア圧縮・伸張方式なので、ユニット側でレベルキャリブレーションや録音レベル調整は基本的に不要です。
従ってパネルにはTAPE(dbx ON) / BYPASS (dbx OFF) / dbx DISC (dbxエンコードディスク再生用) の3つのスイッチしかありません。


リアパネルです。録再入出力端子と、レベル調整用VRがあります。


dbx社の製品は3台所有していますが、どれも日本製です。
dbx=アメリカ の印象が強いだけに、ユニットが日本製というのはやや意外です。



dbx社製のノイズリダクションユニットは、入出力端子の表記が分かりやすく(FROM/TO表記)、誤接続が少なくて好感が持てます。


レベル調整は左右チャンネル共通で、非常にシンプルです。これがdbx方式の最大の特長でしょう。


今度はデッキ接続側です。
金メッキを使った、割とコストのかかったユニットです。


回路はシンプルで、メーターやイルミネーションもないので、ユニット全体の消費電力は僅か7ワットです。



内部基板のようです。
同じ回路が4つ並んでいるのが分かります。
これで左右2チャンネル×録再=4チャンネル構成、となります。


dbxロゴ付きのIC・146732 です。
このICはSNR-1でも使われていたもので、146732が圧縮伸張用ICだとすると、SNR-1で使われている理由が謎です。


フロントパネルを裏から見たところです。
普通は黒地に金文字を印刷するところですが、このModel 224は地が金色で、文字以外の部分を黒く塗って仕上げています。
かなりコストアップだったのではないかと想像します。


dbx PPA-1 概要

各社が競って開発・販売したノイズリダクションシステムですが、ポータブルオーディオ機器向けにノイズリダクションアダプターを発売したのは(私が知る限り)このPPA-1だけです。
アメリカでは"SILENCER"と言う名称で販売されていましたが、日本は"デリンジャー(Deringer)"と異なったネーミングで売られていました。
大きさの割に軽量で、dbxと(おそらく)ドルビーBタイプの2種類の方式を切り替えて再生可能でした。
PPA-1は、あの爆発的人気商品となったウォークマンII(WM-2)の色とサイズに合うように設計されたらしく、並べた時の高さと色がほぼ一致します。特にシルバーとオレンジの色使いは、ウォークマンの筐体とヘッドフォンの色に通じるものがあります。
なお、PPA-1の型番の由来は、「Personal Portable Noise-Reduction Adaptor」との説があります。

PPA-1の主な仕様

ダイナミックレンジ:90dB
周波数特性:50Hz-15kHz ±1.5dB (dbx Type II decode)
高調波歪:0.3%以下(1kHz)
入力インピーダンス:180オーム
出力インピーダンス:3.3オーム
入力コネクタ:3.5mmミニチュアステレオプラグ
出力コネクタ:3.5mmミニチュアステレオジャック
電源:単4乾電池×2本、停止電圧:1.8V
駆動時間:20〜30時間(連続)、NRタイプによって異なる
サイズ:11.1×3.2×3 cm
重量:93g(乾電池含む)



PPA-1外観です。
ウォークマンと同じ高さ(長さ)です。
ウォークマンがないので、代わりに単1乾電池でサイズ比較です。

BYPASSはNR回路をスルーで出力するモード、TYPE II はdbx方式です。TYPE B は、常識的に考えれば当時主流だったドルビーBを想像しますが、はっきりと明記されていません。
PPA-1のパッケージには「ノーマルノイズリダクションシステム用」と書かれているだけです。
あるいは単なるローパスフィルターなのかもしれません。

ちなみにロットによって TYPE B が "dbx B"表記になっているものがあります。
いずれにせよ意味不明なままですが・・・。


上部にヘッドフォンジャックと電源スイッチ、LR別々のボリュームがあります。
BYPASSで聴く時も、電源がONになっていないと音は出力されません。
NRを通さなくても電池を消費するというのは無駄な気がします。まぁヘッドフォンプラグをPPA-1からプレーヤー出力に刺し替えれば済むことですが。


背面にはベルトフックが付いてます。


底面に電池収納スペースがあります。
電池は単4を2本使います。


内部の様子です。隙間がほとんどなく部品が詰め込まれています。
dbxデコードICやドルビーICは使われていません。


dbx社の製品は、割とMade in Japanが多いのが特徴ですが、PPA-1も日本製でした。

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