PC-G90AD


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R1.2
型番:PC-G90AD 定価:138000円 発売1982年

● PC-G90ADの概要

Aurexブランド最後の、10万円超の高級カセットデッキ。
従来のadresより過渡特性を改善したNew adres ICを搭載しています。
このICを使ったadresユニットは存在しないため、New adresの効果を体験できたのはこのG90ADとG07ADの2機種のadresデッキのみです。
高級機らしく、テープの感度とバイアスの自動調整や、リアルタイムカウンタ、デザイン的な特徴となっているフィルムタッチ式のフラットパネルを装備するなど、かなり凝った仕様になっています。
しかし、ドルビーCを搭載せずBのみにしたことや、デザイン先行でその分操作性が犠牲になっている面もあり、他社の同クラスカセットデッキに比べてインパクトが弱いことは否めないように思います。
とにかくG90ADの最大の特徴は、New adres搭載の一言に尽きます。
以下、取扱説明書からの抜粋です。


 ダブルアドレスというのは、もう1台のカセットデッキをG90ADに接続することで、
 そのカセットデッキでもadres録音が可能になる機能のことです。強いて言えば、
 G90ADがadresユニットとしても使えるということです。
 adresに関しては、以下の説明があります。



● PC-G90ADの仕様


 ワウフラッターが0.022%と、当時としてはかなり高性能なメカを搭載しています。

G90ADのデザイン的な特徴となっているのが、フィルムタッチ式操作スイッチを採用したフラットパネルです。同様の手法はソニーがTC-FX1010で過去に実現しており(しかもFX1010はフルフラット)、珍しいものではありません。
ワイドなレベルメーターや大きな操作スイッチは好感が持てますが、操作スイッチとシーリングポケットの間に設けられた録音レベルスライドボリュームが窮屈だったり、ソース・モニター切換えスイッチが録音とポーズボタンの直近にあるため、誤操作しやすいレイアウトになってます。
-40dBから+12dBをカバーするワイドレンジメーターです。-3dBに[AD]基準レベルマーカーがあります。
一見するとセグメントが細かいですが、実際は4セグメント1単位なので、それほど細かいわけではありません。ピークホールド付きです。
メーターの左側にあるのがステータスモニターです。
adres使用時には緑色の枠が点灯します。位置がややずれているのは仕様です。(^^;
外部デッキを接続し、G90ADをadresユニットとして使用しているとき、UNITランプが点灯します。

メーターの右側には、テープ種類とモニターモードを表示します。
テープ種類は自動検出です。
3ヘッドデッキなので、モニター切換えできるのは当たり前なのですが、モニター切換えスイッチの場所が分かりにくく、スイッチも小さめで操作感はよくありません。

カウンターは時間直読のリニア電子カウンターです。
標準的な60分・90分テープは問題ありませんが、ラージハブの46分テープは思い切り表示がずれます。(笑)
ついでに、奥まった位置にあるため、前面のカセットフォルダが邪魔して角度によっては見にくくなります。

ヘッドブロックです。かなり使い込まれたため、ピンチローラーが変色してクリーニングしても効果がありません。(^^;
操作スイッチに対してタイムラグなしに機敏に反応するメカで、その割に動作音も低めです。

同時期に発売したCDプレーヤとデザインを統一したため・・・と聞いた記憶があるのですが、そのためカセットフォルダカバーはこの通り巨大で、普通のカセットデッキの倍の幅が開きます。
ダンプされていて、ゆっくり開くのはさすが高級機。

イジェクトボタンはカセットフォルダカバーにあります。
これ、今一つしっくりこない方式で、ボタンを押すとボタンと共に手前に開くというのは人間工学的ではありません。
デザイン統一の大前提にさぞ設計者も苦労したことでしょう。

もう1つ操作性最悪なのがこの電源スイッチ。
カセットフォルダがフロントパネルを占有しているため、小さい・狭い・押しにくいの三拍子が見事揃ってます。
指が太いと押せないという非常に無理のある配置です。

G90ADに搭載された自動テープチューニングは、ノーマル・クローム・メタルの3タイプを記憶します。
チューニングはSTARTボタンを押すだけ。自動的に調整してスタート点にテープを巻き戻して完了です。
READY点灯で完了、ERRORが点灯した場合はチューニングレンジを超えたか、あるいは問題が発生したときです。

シーリングポケットと3ヘッドモニター切換えスイッチ部分です。
デュアルキャプスタンDDモーター方式で、価格相応のものです。
ノイズリダクションにはadresとドルビーBのみ採用しています。この当時、ドルビーC方式が既に登場しており、adres開発メーカーの意地が感じられます。

シーリングポケット内です。
ノイズリダクション切換えスイッチもこの中にあります。
外部デッキにもadresが使えるようになっているため、独特の切換えスイッチがあります。
なお、元々狭いシーリングポケットにいろいろ押し込んだため、使い勝手は最悪です。
この切換えスイッチは直径1cmです。しかもやや奥まった位置にあるため、指先で回す必要があります。

adresユニットではお馴染みのキャリブレーション(感度調整)ボリュームがあります。
EXT.DECKというのは、G90ADに直列でもう1台カセットデッキを接続し、adresエンコード・デコードできるようにするものです。
COPYはadresで録音したものをそのままダイレクトにダビングするためのモードスイッチです。

録音バランスとライン・ヘッドフォン出力ボリュームです。
バランスは滅多に操作しないので構いませんが、OUTPUTはヘッドフォンユーザーには欠かせないボリュームなので、このサイズは泣けてきます。

外筐を外して上部から見た様子です。
基板は2枚組で、1枚は録音・再生回路基板なのですが、ここに写っているもう1枚の基板はノイズリダクション機能のためだけに使われています。
adres ICは単体では同時モニターできないため、都合4チャンネル分用意する必要があり、それらに加えてドルビーも加わるため、このような大型基板が必要になっています。

ノイズリダクション基板を立てたところです。
adres ICが4個、ドルビーICが4個見えます。

New adres IC の TA7677Pです。
これを使ったadresユニットが出なかったことは返す返す残念でした。

東芝製ながらドルビーロゴが付いたICです。
ドルビーBのために4個もICを積んだデッキは珍しいのでは?

ノイズリダクション基板のマーキングです。

ワイヤリングがすごいことになってます。
こうして見ると、案外adresってコストダウンの足枷になってたような気もします。
ワイヤリングが飛び交っているため、ケーブルと基板に番号が振られ、誤接続を防止しています。

デッキ内部空間に余裕がなく、大きなノイズリダクション基板を浮かせて内蔵している上に、電源基板を垂直に立てたため、このように電源基板がノイズリダクション基板に接してます。
ショート防止のため、このように絶縁用シールドが取り付けてあるのですが、シールドは完全に固定されていないため、振動の多いところで使い続けるのは危険です。


カセットメカにそれほど大きな特徴はありませんが、モード切替スイッチがナカミチのCR-70で見かけたものと同じ構造です。
大きくてメンテしやすいです。少なくともロータリーエンコーダのように小さなギアが割れて操作不能になるような心配はありません。

背面です。
機種銘板とシリアル番号です。

ダブルアドレスのため、adresエンコード出力とデコード入力端子が装備されています。
このG90ADの変わった特徴の1つです。

かつて必須アイテムだったマイク端子ですが、この頃になると出番が少なくなってきたからか、はたまたフロントデザインの関係か、マイク端子が背面に設置されています。
頻繁にマイクを使う人には使いにくいレイアウトです。

今では当たり前のワイヤレスリモコンも、この当時は別売でした。
外付けリモートコントロールユニットを購入した場合に、ここに接続して操作します。
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